あのイメージ
今週の一枚「冬の空」
思い立って週末スキーの練習に出かけてきました。
早起きが必要な外出イベントはハードルが高い。朝起きが苦手で休日は家にいたい性質なので、よーし行くぞとなっても前日夜に気持ちが萎えちゃったりする。我ながらモチベーションコントロールが大変ですがそんな人間でもたまにはやる気がでる。今年は意識的に昨年と違うことをすると決めたのだ。
緩斜面でプルークの練習をしたあとリフトに乗って山頂へ。眼下に琵琶湖が望める。なんて爽快なの。学生の試験期間と被ったおかげでゲレンデは空いておりタイミングがよかった。
近辺の山々や湖を眺めたり綺麗なフォームで滑走するスキーヤーを鑑賞しながら自分ペースで何本か滑る。長年のブランクがあるため雪に慣れることからだと覚悟していたが意外とからだは覚えているものですね。一度も転ばなかった。
何度目かのリフトで隣り合わせたスキーヤーが 今日はいいお天気ですね一人ですか、と話しかけてくれた。一人で練習しにきたと話すと、スキー場に来ているのに湖ばかり眺めていて不思議な人に見えたとのこと。お、おう(恥)。
「さっき滑っている様子を見たが荷重のバランスとタイミングがよくない。空いているからよかったら練習につきあいますよ」とコーチを申し出てくださった。単独練習のはずがひょんなきっかけで師匠ができた。こんなことがあるのだなぁ。師匠は学生時代スキー部に所属していたそうで、Nordicaの板に乗り美しいパラレルで滑走していた。
スキルやノウハウは大事だが正しく美しく滑る人の姿をよく見てそのイメージですべるといいよ、とおっしゃったのが印象的だったな。上手な人の滑走を解説して「あのイメージで」と何度か言われた。模倣し自ら補正しながら学ぶ。そのとき人に指摘してもらうのも大事。なるほどなぁ。人が社会で学習したり成長するのとおんなじだ。
自分が知らないことや試していないことを、先に経験したり知っている人の恩恵にあずかれることはうれしいことです。Nordicaの方に大感謝。
緩斜面で何度もプルークボーゲンをして荷重とひざの使い方を練習。1時間半ほど繰り返し、次に山頂の広いコースで試したら先ほどに比べてスムースに滑れた気がしてうれしかった。
上の写真はその時に撮ったものです。空を見上げたら、灰色の明るい冬空があった。また滑りにでかけたいなー。
前太ももが筋肉痛で歩行困難。よちよち歩きで過ごしています。
続きを読む「華胥の幽夢」再読
社会復帰がままなりません食べたらねむいです進捗どうですか(棒)。俺たちの年末年始はまだこれからだ(今週のお題)。
- 作者: 小野不由美
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/12/24
- メディア: 文庫
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新潮文庫「華胥の幽夢」が昨年末発刊しましたね。美しい表紙に惹かれ、講談社版に加えてこちらも購入。年明けから今日まで十二国記シリーズを1日1冊ペースで通読しました。
本作「華胥の幽夢」を読むのは数年いやもっとご無沙汰ぶりで、読後の印象が前回と少し違って感じました。次はまた別の感想を持つかもしれない。今回のメモを備忘録として残します。
なおネタバレを含みます。「華胥の幽夢」または十二国記シリーズをこれから読むよという方はご留意いただきたい。
十二国図(模写)
所要時間約10分、トラックパッドで絵を描いたゼエハァ(なかなかじょうず)。複雑な世界を把握するために地図は大変有益ですね。作品の扉部分にある十二国図を参考にしながら読んでいます。
以下短編ごとに感想を記す。
冬栄
戴。「黄昏の岸 暁の天」関連。王 驍宗に遠路 漣までのおつかいを頼まれて出かける泰麒のお話。泰麒の素直さかわゆさに震える。考えすぎ心配しすぎな気質も健在です。いいこ。
この物語の見所は漣国の廉王と泰麒のやりとりにある。何事においても自信が持てなく「自分はここにいてよいのか。自分は無用の存在で、いれば邪魔になるだけ」な思考癖を持つ泰麒に対し、そのままのあなたでよいではないか?と廉王は言葉を変えて繰り返し伝えます。嵩里時代の泰麒の側にこんな大人が一人でもいればよかったのだろうな。
本編から知る彼の幼少期を思うと不憫でなりませんが、環境や人を変えようとする前にまず自分のふるまいを振り返れる泰麒はえらい。人の意見を素直に聞き、自分とは別の価値観をシャットアウトせずいつだって好意的に受け止める姿勢に背筋が伸びる。
自分の在り方に惑う泰麒に、廉王は麒麟として王や民を見守ることの大事さを説く。読みながらなぜか自分が励まされた気持ちになりました。物語の後半部分では黒田如水の言葉が脳裏を過った。
次作はぜひ驍宗と泰麒のお話を読みたい。本編では特に泰麒のモヤ感がモヤモヤしているしなー気になるなー。
乗月
芳&慶。「風の万里 黎明の空」関連。芳王の娘 祥瓊と陽子がこんなかたちで登場するのがうれしい。
圧政を強いた峯王を想うがゆえに自らの手で王を討った月渓。この物語はいろんな読み方ができますね。私は罪悪感とやるせなさで満ちた月渓の胸の内を解かすお話だと解釈した。
月渓の心情に寄り添い、頑なに鎖した心を解かした慶の将軍(陽子の部下)青辛がとてもいい。月渓との会話の端々に思慮深さ控えめな懐の深さ、景王(陽子)を慕う様子が伺える。以下は青辛が月渓に「人は変われるものだ」というメッセージを伝える言葉。美しい〜。
「恵候(月渓)が崇敬する峯王を討った御自分をとても厭うておられることは、よくわかりました。 たしかに罪は罪なのでしょう。ですが、罪を遠ざけるのも道、罪を悔いて正すことも道でございましょう」 言って、青は園林の上に朧に昇った月を仰いだ。 「陽が落ち、深い闇が道を塞いでも、月が昇って照らしてくれるものです」 p.115
祥瓊が月渓にあてた手紙もよかったなぁ。
月渓の葛藤を描く物語であると同時に青辛を含む王たちを見守る側近の有能さが垣間みれる。王と麒麟だけで国は成らない。
書簡
慶&雁。「月の影 影の海」関連。あーん!陽子!!楽俊!!
お互いが自立し、自分の向かうべき事をしっかりやり、時に相手を思いやれる関係いいなぁ。あえて心配しないし心配をかけない。それでもどちらかが有事のときは人一倍はやく駆けつける。言葉にしないでも伝わっている感じだ。
景王 陽子から届いた文に楽俊が返信した書簡がこれまたよかった。雁の延王と六太(延麒)の様子が垣間見れたのもうれしい。
いやー陽子と楽俊ファンにはたまらんですな。景麒の世話焼きぶりもちら見できるし最初から最後まで私得のお話にちがいない。
華胥
才。一国の繁栄から衰退がこの物語ですべて描かれている。ただただ悲しいという感想を持った。一過性のビジネス書やマネジメントノウハウ本を読むならこの物語を繰り返して読んでいたい。そう思う。
全体を通して重めで希望もなく切なさでいっぱいになる。誰も悪くない。王や側近たちが「これが理想である」「今の自分たちは正しく進んでいる」そんな自らの価値観や確信を疑わなかったことが国を滅ぼす原因となってしまったのだった。采麟が病んでなお、自分たちの道を疑わず修正しようとしなかった。優秀な集団ゆえの過ちだった。
感性、価値観、意識、感覚が似た者同士は 寄れば居心地がよいし楽しいだろう。最初はそれでいい。一方で多面的な視点や意見・多様性を受け入れる寛容さを損ないがちになるし、新たな価値や創造に気付けない。自分たちとは別の集団が持つ気付きや傷・溝を感知できない。そうしているうちに治療のタイミングが遅れ、傷が広がり、致命傷に至る。命を落とすまで最初の小さな傷や溝に気付けないとしたら悲劇だなぁ。そういう意味で采麟は被害者だ。
采王が自身の最期の決断をするシーンはギリギリ持ちこたえたが、栄祝が朱夏のもとを去った場面で涙腺崩壊必至でした。「責難は成事にあらず」慎思の言葉が胸を打つ。
この短編集の主軸となるお話。
帰山
奏国王の次男 利広と、風漢こと雁のあの方が遭遇するお話。わーいわたし歓喜!
本書の中で「帰山」はオマケ的な印象がありました。しかし改めて読んでみると、超すご腕ストーリーテラーが王と麒麟・国の成り立ちを語ってくれるサイドストーリーであることが分かる。本編では十二国の歴史について客観性を担保したこんな語られ方はしない。
帰山を読み終えて先の4つの短編がますます活きる。この物語があるから「華胥の幽夢」を通読し、しみじみよかったなぁという気持ちになれた。もしも最後のお話が「華胥」だとしたら気持ちのやり場に困ってしまいそう。
登場人物メインの風来坊二人がとにかく紳士的で機知に富むナイスガイでついていきたい。延王 尚隆のよっしゃみなさんオレに任せとけどや感ぜんぜん嫌じゃない。文姫ちゃんは先の華胥にも登場しますね。本編の主要人物を別の角度から見て取れる楽しい展開だ。
利広を囲む奏国王の家族風景もほほえましくてなごんだ。自分が変わっていないことを確認するために放浪の旅から帰山する。そんな利広のありようが、自分の帰省のタイミングと重なり親近感がわいた。
まとめ
小野不由美さんはすごい作家だなぁ。年明けからよい読書ができてしあわせだ。
一気に書いたもんだから疲れた。支離滅裂でしょ。書き慣れてなさ・筆力のなさを痛感する。
そういえば先日読んだスティーブン・キング著「書くことについて」に、書く力をつけるにはたくさん読んでたくさん書くことだ、とあった。そうなのかー。うまくなりたいものです。
1/4(土)
今年買ってよかったもの
今週のお題「2013年に買って良かったもの」
これかなー。
audio-technica ポータブルヘッドホン ATH-ESW9
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3度目購入時に Sennheiser, HD25-1IIと迷ったものの抜群の着け心地が安心でこちらにしました。
装着違和感があまりになくて音楽を聴きながらうっかり寝落ちてしまうこと数多。コードが首にかかって悪夢をみたり、起きたら頭上でヘッドフォンが破壊してた泣ける!(1つめ破損理由)といったことを防ぐため、布団内または眠気どきの音楽鑑賞はイヤフォンが適切だろうと実感しておりますが実行していません。
ボリュームを絞っても高音低音しっかり聴かせてくれて大満足。
- 出版社/メーカー: 任天堂
- 発売日: 2013/10/10
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10日前にポケモンXをくりあしましたので万全の態勢でゼルダに臨めます。
最後にArts & Science で購入した白シャツを挙げます。
生地感が好みであることに加えてサイズが自分にぴったりでした。大切にしたい。同じものをいくつでもほしいと思える一品に出会えてしあわせだ。
夏〜秋ものを大洗濯したら白シャツだらけ
この週末は晴れることがわかっていた。
色づいた山や葉を見に出かけられるとよかったのだが外に出る元気が出ず土/日とも家で過ごした。今年の風邪は喉にくるようです。
土曜の午後を過ぎてようやくベランダに出てみたら乾いた冷たい風の吹く絶好の洗濯日和だった。
洗濯一連のフローは好きです。青空で乾いた風の吹く週末はたいてい2回洗濯機をまわす。洗濯槽の中で水と洗濯物が不規則にぐるぐる回る様子なんて時間を忘れて左右回転運動を眺めたくなるでしょう(結構な頻度で眠気に誘われる)。青空の下で洗濯物が風に揺れる様子はさらなり。取り込む時の柔軟剤の香りも乾いたシャツに袖を通すのも気持ちよさこの上ない。
というわけで、2日にわけてクローゼット内のシャツを洗いアイロンがけをしました。気がつけば綿か麻の白シャツだらけでおかしい。どうしてこうなったのか。振り返り考えてみます。
白シャツばかり集まる
歴史からの考察
- 中学高校時代の制服が白シャツと紺ブレザー
- 関係あるかな、なさそう
- 大学時代はTシャツ+デニムが制服
- 空手の道着が似合うと言われていた...そら18年間も着ていたしねぇ
- 母の好み?
現在
- ラク。いろいろ考えずにいられる(気がする)特に白
- 流行のサイクルに巻き込まれずに済む
- 面倒くさがり屋なもんで気に入れば10年くらい同じ種類のものを着たい・履きたい
- 自分のサイズに合うのがいい。着心地がよいとさらにいい
- 今年の春物どうしよう?秋は?冬は?みたいなのを考えるのが億劫である
- おしゃれ的にはだめだがそうなのでしょうがない
- 基本買わなくたっていいじゃんあるもので、という考え。半袖と長袖をちょっとずつ買い足していたらこんなことに
- 7~8年前に購入したシャツもあるが汚れてないよ(私調べ)
- 生地が馴染んでくる感じが好きである
- ちょっと擦れて柔かくなってくる頃。アイロンをかけずに着る綿や麻は普段着に最高である
- なのにアイロンをかけるとパリっとなる。使えるいいこ
- 白は迷わない。勢いで決められる
- 何にでも合ってくれる、かつ染まらない。強い味方
- 意識したことなかったが白とシャツが好きなのだろうな
- 毎日洗濯機でざぶざぶ洗える。正義
こんなところ。
好きで流行にあんまり関わらないものは2~3年しまっておいても洋服が私を忘れない。古い友人のような付き合いができてよい。
ちなみにお気に入りの柔軟剤はこちら。これを使い始めてから他を使っていません。香りも風合いもとてもよいです。
ファーファ ファインフレグランス 濃縮柔軟剤 ボーテ (beaute) 香水調プライムフローラルの香り 本体 600ml
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「舟を編む」
- 出版社/メーカー: 松竹
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観終えてしあわせな気持ちになる作品でしたなー大満足。彩り豊かなピアノの音色が楽しいサントラも買っちゃいました。
映画『舟を編む』予告編 - YouTube
予告はキャッチーでコミカルな場面を強調していますね。くすっとなる場面は多分にありつつ本編は静かで抑え気味にゆっくり進行します。
今を生きる言葉を活かす辞書「大渡海」の制作企画から完成までの15年間と、その辞書の編集を任された主人公 馬締(まじめ)さんや同僚のありようが描れています。地味で淡々とした作業に情熱をもって向き合う彼らの姿勢に背筋がのびるし、こういう人たちはいずれ輝きだすのだと思わずにはいられない。
登場人物がそれぞれ魅力的です。中でも辞書の監修担当である松本先生(加藤剛さん)の存在が効いていた。ベテラン編集者 荒木さん(小林薫さん)を常に立てて、若手の西岡さんと馬締さんには幾度となく「大渡海」の価値や在り方を伝え続ける。誠実・質実剛健・真摯・真面目、これらが登場人物全員に共通しており、この作品を上品で上質なものにしていると感じます。オダギリジョーさん演じる西岡さんもよかったな。まじめさんが元気を失くしていたり惑っているのを察すると 大丈夫だよーおまえならできるよと折に触れて背中を押してくれるの。
ひとは辞書という舟に乗り、暗い海面に浮かび上がる小さな光を集める。 もっともふさわしい言葉で、正確に、思いをだれかに届けるために。 もし辞書がなかったら、俺たちは茫漠とした大海原をまえにたたずむほかないだろう。 海を渡るにふさわしい舟を編もう。 松本先生が静かに言った。 p.27, 原作「舟を編む」より
主人公のまじめさんは松田龍平さんの演技がすばらしかったです。白いシャツが似合う。
なんだかいつもぎこちなくてしょっちゅう挙動不振で、こんな人がいたらきっと目が離せない。言葉やものをとらえる視点に天性のセンスを持つが自分は言葉で人になにかを伝えるのは苦手で「..あうあうあう」「えっあっ。あ、はい」みたいな。普段はほんわかゆるい雰囲気なんだけど時折見せる情熱が素敵だ。
香具矢さん(宮崎あおいさん)には目をみて直球で想いを伝えたなーいやぁあれは実によかったよ!文句なしにかわいかった。全然浮ついてなくて老夫婦みたいな二人だけど好みです。低め安定よいな〜。もの静かでさりげない人がすき。
まじめさんがタケおばあさんとの夕食中に「僕は自分の感情を人に伝えることができないし、それに人がなにを考えているのかもわかりません」ポツポツと自分の劣等感を話す場面は胸を打つ(自分も言葉が下手で人に考えを伝えるのが苦手なので感情移入してしまた)。タケさんの励ましをしっかり受け止め、そのあと自分なりにちゃんと行動に移す。十分だと思った。
人は自分の姿を鏡や写真なしではみることができなくて、それは内面もそうだ。内面を映してくれるのは鏡じゃなく他人なんだけど、人は誰もがそんなにクリアな鏡じゃなくてどこかしら曇りとか曲がりがあるため像はゆがむ。そのゆがんだのを、幾人かに映して補正しながら読み取るわけです。だから自分の中にある仕組みやありようは自分と関わる人の姿の上に見つけられる。たぶん。
まじめさんは自分の周りにいるむずかしい人々とまっすぐ向き合いながら、しかし自分を変えることもせず、ただただ粛々と淡々と15年間自分の中の情熱を燃やした。いつのまにか周りがまじめさんに感化され、応援者が増え、みんなで「大渡海」をまとめ完成させる過程が伝わってきました。
早雲荘に住む親友のトラさん(にゃん)が超絶かわいくて悶えます。最近毎晩ああーねこと暮らしたいぃとなってこまる。今まさにこまっているところ。