2020年 春

季節が変わりました。寒風が和らいで穏やかな日差しと青空につられて気持ちも外向きになります。

新型コロナウィルス感染症 (COVID-19)の影響が拡大し、余波を受けて3月から自宅で仕事をしています。どうやら今の働き方が自分の定常となりそうです。

毎日のこと

1日のほとんどを自宅で過ごします。在宅勤務をスタートして最初の1週間はのびのび呑気に過ごしました。しかし慣れてくると思いのほかさびしい。
自分の役割は組織やひとに関わることが主です。業務コミュニケーションはチャットサービスを用い、MTGはリモート会議システムを活用します。ビデオ画面越しにちょこっとお互いの近況を話したり背景画像を見て笑い合うのはほっとするひとときです。アジェンダをこなして「おつかれさまです〜失礼しまーす」とMTGを終えた瞬間から静寂と孤独。日が経てばこの毎日に慣れるのでしょうか。誰かと笑っておしゃべりする機会が減りました。ひとの気配や喋り声があり、表情が見えて、目が合えば挨拶をしたり笑って交わす雑談がある。そんなやりとりに私は帰属意識や組織の存在を感じていたのでしょう。
社員が別々の場所で働くことが常態化し、大きな組織の変更や設計やマネジメントを中長期的にどうやっていくのか考えていかないといけません。価値観の共有、目線合わせをやっていけばいいのでしょう。組織文化をつくる、どうやって?自分がアウトプットできること、貢献できる価値とは?
昨今の変化はあまりに急で、環境整備や心の準備がないままにリモート前提の働き方が決まりました。不安は大きいですが、これまでにない挑戦を進めていくことになります。

在宅勤務をし始めて運動不足が加速しました!
通勤がなくなり、業務時間が可変であるため、生活を朝型にシフトして17:00ごろから運動という名の散歩をしています。走るのはしんどい。
誰にも会わず一人でいるとだらだらしてしまうので、少しの意識と心がけで毎日の楽しみを増やすことにしました。

  • 7:00~7:30am 起床
    • 通勤時間がなくなったことで1日の疲労具合がすごく減った。そのせいか朝すっきり起きられる。お肌の調子もよい
  • 朝夕のラジオ体操、腹筋10回
    • 腹筋は少しずつ回数が増えています
  • おいしいお茶タイム
    • 毎日の楽しみ。日本茶、紅茶、コーヒー、チャイ など気分によってお茶も器も変更する
  • ちゃんと着替える、整える
    • 最近は白シャツかロング丈のワンピースが制服化しています。面倒だけどアイロンもかけることにした
    • たまにネイルを塗って目に見える場所に色を置く。今は部屋に活けているラナンキュランスと同じ色。オレンジ&ピンク。気分転換が楽しい
  • ヘルシーな食事、おいしいものを食べる
    • 季節の野菜をしっかりいただく。おいしいパンを食べる
  • 花を活ける
    • 季節の花を見るのも選ぶのも楽しい。殺風景な部屋に彩りが増えてうれしい。今では部屋に花がないとさびしい
  • ルームフレグランス
    • 部屋によい香りが漂うと気分がよい。アロマポッドやデフューザー、ポプリを香らせる。お気に入りはMad et Len
  • 本屋に通う
    • インターネット以外の情報を得る。適切な刺激を自分に与える
  • 散歩
    • その日の外気を自分に取り込む。天気や気温や空模様や季節の花を見たり。ついでにパンやスイーツを買う
  • おしゃべり
    • 散歩したり笑ったりおしゃべりしたり。居心地のよい時間を過ごす

お茶のことや毎日の楽しみを記録するのは楽しいですね。

これからのこと

時間の過ごし方と考え方の変化を自覚しています。まったく関心がなかった複業に目が向くようになりました。
これから組織経営の学問を深掘りするかもしれないし、人生を共にするお稽古ごとやコミュニティにjoinしたり、友人やひととの関わりに楽しみを見つけるのかもしれません。今までになくニュートラルです。
書籍だけじゃなく、もっとひとと会って話がしたいです。仕事や組織や学問のこと、お茶やスイーツや毎日の過ごしかた楽しみのこと。これまであまりそんな風に思わなかったんだけどな、一人の時間が増えたせいでしょうか。

働き方が変わり、働く時間帯や住む場所の制限がなくなろうとしている今、意思を持ちどこでどうやって気持ちよく過ごしたいのかを考えています。
世界情勢の揺らぎはしばらく続きそうで、少し先の情況すら予想しづらいです。こんな時だからこそ自分の奥底にあるポリシーやスタイルが大切になってくるのでしょう。

ここまで自分のことばかりを記していますが、全ての皆さんが同じではないことは理解しています。飲食店や小売店、流通に関わる方々が日々の生活を支えてくれています。移動ができるのは、公共交通機関の方々がインフラを回してくださっているからです。混乱に陥らずに社会が回っている、なによりも、医療にかかわる方々が危険を犯してでも私たちが当たり前に生きられることを支えてくれています。

世界や社会の変化に自分はどう向き合っていくのか。少しずつ形づくっていきたいです。

「喜嶋先生の静かな世界」

「喜嶋先生の静かな世界」を再読した。この物語を読むと、深呼吸をしたくなる。

森博嗣著書の中でもお気に入りの作品で、何度も読み返している。次回読み返す時のために今回の読書ログを残しておきたい。ネタバレを含むので詳細を知りたくない方は引き返していただけると幸いです。

喜嶋先生の静かな世界 (100周年書き下ろし)

喜嶋先生の静かな世界 (100周年書き下ろし)

  • 作者:森 博嗣
  • 発売日: 2010/10/26
  • メディア: 単行本

主人公 橋場くんがゼミで研究をスタートしてから大学の研究者になるまでの約15年間を描いたお話で、私は主人公を自分や業務に置き換えて読むことが多い。学生時代の生活模様、研究に没頭する日々、日常生活、近しい他者との関わり、キャリア... 未来と過去を行き来しながら橋場くんの時間が流れていく。研究の楽しさを知り没頭する隣にいつも同研究室の助手 喜嶋先生がいる。研究とはなにか?研究者とはどういうものなのか?研究者として生きるとは?それを思うとき、橋場くんはいつも「喜嶋先生だったら」と逡巡するのだ。

橋場くんと喜嶋先生、そしてごくせまい人間関係が静かに淡々と綴られており、読者である私たちの隣で彼らのお喋りを聞いているかのような錯覚をする。彼らの紡ぐ言葉は飾らなく自然体で親しみやすくほっとするし、思考は硬派で静か。表現の透明度が高くてときめく。こういう人たちが身近にいたら好きになる。

さて橋場くんが一目置く存在、喜嶋先生とはどんな人物か。朴訥としていて言葉も格好もまるで飾り気がない。大学内でのポジションやステイタスといったものには全く関心がない。率直すぎて突拍子がなく研究室や周りのみんなを驚かすことが度々だ。橋場くんが学部〜大学院時代は、喜嶋先生に質問すれば即返答や助言がもらえるという師弟関係であるが、橋場くんの成長に伴い徐々に2人の距離は近づいていく。その様が実によい。時に喜嶋先生から質問や議論を投げかけ、2人がまるで同志や友人のように部屋でお酒を飲み交わすシーンには胸が熱くなる。
ただその幸せはひとときで、橋場くんが研究者として独立するに連れて少しずつ2人の距離は遠くなっていく。
喜嶋先生が橋場くんの結婚式祝辞で弾塑性論や流体力学や研究展望を延々と語り、司会者に止められて「そうか、べつに、明日直接話せば良いのか」と研究談義を打ち切るシーンは読後に振り返るととても悲しい。
わたしたちは約束しないと会えなくなってはじめて、約束しなくても会えることのありがたさを知るのだ。

喜嶋先生の在り方は主人公にとって「王道」だった。喜嶋先生の隣で王道を歩んでいた自分が、喜嶋先生と距離ができ、時間に追われ、没頭したいことに向き合えなくなり、大切な存在と会えなくなって、やっと王道から逸れている自身に気づく。主人公の憧憬とも後悔とも受け取れる感情が終盤の数頁に凝縮されている。読む度に、もう一人の自分に、いまお前はどうなのだ?と迫られている気がしてギュッとなる。

お気に入りの節を以下に記す。

とても不思議なことに、高く登るほど、他の峰が見えるようになるのだ。これは、高い位置に立った人にしかわからないことだろう。ああ、あの人は、あの山を登っているのか、その向こうにも山があるのだな、というように、広く見通しが利くようになる。
この見通しこそが、人間にとって重要なことではないだろうか。他人を認め、お互いに尊重し合う、そういった気持ちがきっと芽生える。
だから、なにか一つの専門分野を極めつつある人は、自分とは違う分野についても、かなり的確な質問ができるし、有益なアドバイスもできる。僕はまだよくわからないけれど、大学の先生という職業が成り立っているのは、こういう原理だと思える。
(略)
人生には、いろいろな山があるけれど、山を乗り越える技術を身に着けることで、同じ高さの山であればどんどん簡単に乗り越えられるようになる。でも、もっと高い山がつぎつぎに現れて、今度ばかりは駄目なんじゃないか、と心配になるときもある。だけど、どうなんだろう。
それを登らずに引き返すことなんてできるのだろうか?遠回りをして迂回することはできるかもしれないけれど、結局トータルすれば同じ労力が必要なのかもしれないし、もしかしたら、遠回りすることで余計にエネルギィを使ったうえ、高いところを見られないことになるかもしれない。たぶん、生きているかぎりは、乗り越えて行かなくてはいけないものなのだ、という気はする。というよりも、そもそもその山は、自分が作っているんじゃないかな、とも思うのだ。
pp.290-291

たまに意識してゆっくりと歩く。右足と左足を交互に出すのだ。それから深呼吸をよくした。呼吸を意識すると、気持ちが落ちつく。考えるために、コンスタントに体調を維持したい。食事はなるべく減らして、空腹に近い状態がベストだった。
(中略)
喜嶋先生ほど、クリーンでサイレントに生きている人を僕は知らない。探せば沢山いるはずだけれど、きっと、透明で無音ゆえに、見つからないのだろう。先生だけは、たまたま僕がすぐ近くにいたから、存在を知ることができたのだ。
pp.314-315

橋場くんのような空気を纏うひとがたまにいるなと感じた。
人の話に興味深く耳を傾けて、どの人にも変わらない態度で、楽しそうに自分の話をする。
自分のありのままの姿を受け容れ、それを肯定することから始め、大きく見せることやひがんだりすねたりすることがない。「不完全でも、他人より劣っていても、それはそれでいいではないか」という雰囲気があり、それは他者に対しても同じだ。完璧であること、首尾一貫していること、他よりも優れていることを自分にも相手にも要求しない。年齢とか立場とか格好がどうとかのわかりやすい基準を超えている。そういうひとの周りは知的で安らげる空気が漂っている。

今日3/5は啓蟄の日。冬眠していた生き物が眠りから覚めて活動し始める頃だ。
呼吸を深くして毎日を過ごそう。

SRE NEXT 2020 参加記録

1/25(土)に豊洲フロントで開催されたSRE NEXT 2020に参加してきました。
参加者の大半はSREまたはソフトウエアエンジニア現職とのことで、自分が参加しても大丈夫?の不安が募りましたが、全セッションを通して大変興味深く自分の関心が満たされました。私が本イベントに参加した目的は以下です。

  • SREそのものへの興味関心
  • 各社のSREの取り組みを知る
  • 技術と組織・人をどう繋いでいるか、どう仕組みづくりをしているかを知る

拝聴したセッションについて感想を残します。

SRE NEXT 2020

  • 参加セッション
    • [A0] 分散アプリケーションの信頼性観測技術に関する研究 / 坪内佑樹さん
    • [C1] 絶え間なく変化するメルカリ・メルペイにおけるSREの組織と成長 / 渋谷さん、高木さん
    • [A2] パフォーマンスを最大化するための SRE のオンボーディング事例 / tkuchikiさん
    • [A3] freee のエンジニアは障害から何を学び、どう改善しているのか? / 坂井学さん
    • [A4] 日経電子版SREチーム立ち上げ中 / osamu takayasuさん
    • [B6] ZOZO MLOps のチームリーディングとSRE(Engineering) / 瀬尾 直利 (そのっつ)さん
    • [B7] SRE Practices in Mercari Microservices / Taichi Nakashimaさん

[A0] 分散アプリケーションの信頼性観測技術に関する研究

SREの次、 "next" を会場の皆さんと考えてみたいとお話がありました。
冒頭で 1983年に書かれた論文「自動化の皮肉(Ironies Automation)」を紹介します。Bainbridgeは本論文で、システムを自動化すれば運用が楽になり万事解決するとは言えない。自動化するほどに人間の訓練や負荷は高まると示しています。35年前の示唆の通り、システムの自動化推進はエンジニアにひとときの楽をもたらしました。他方で複雑化するシステムは人間に対してさらなる課題を生んでいるように見えます。
Ironies Automationに対するアプローチとして、ゆううきさんは「人間が失敗を許容する前提で運用を設計する。失敗とは、一時的な信頼性の低下を許容すること」を提案しました。

信頼性の低下は、システム開発・運用者にとって恐怖であり失敗と見なされがちです。でもSREは信頼性を制御するための工学だと定義すれば、一時的な信頼性の低下は失敗ではない、というのがゆううきさんの解釈です。仮にシステムが不安定になっても「これは我々が制御できるシステムだ」とわかっていれば、システムに変更を加える恐怖が減ります。恐怖が減ればシステム変更が容易になります。システム変更速度が上がれば開発者は前向きな開発が進めやすくなります。
信頼性向上を目指すシステム開発・運用から、エンジニアがシステムを制御できる状態に主眼を置きませんか。失敗を許容する前提で運用を設計することにより、システムの信頼性を高めたい。この世界をゆううきさんは見たいのだなと感じました。
研究を進めるうえで「人と組織(経営学)」「人と機械(認知システム工学)」にも着目しているそうです。SREの研究者として明らかにしていく3つの研究テーマを紹介されました。

  • 時間軸の可観測性:時系列データベースの研究
  • 空間軸の可観測性:地理的に分散したアプリケーションの信頼性向上
  • データの一貫性を保証しつつ、応答性を最大化できるよう制御

自分が本講演を聴いて印象に残った言葉は以下です。

これらの研究を進めることで、SREの次 (例えばいまSREの領域で主流の Microservise等)や別の道がないかを模索しようとしている

研究とは「研ぎ澄まし、突めること。新しい事実や解釈の発見」です。本講演では、GoogleのSRE本から1つ歩を進めて、SREとは信頼性を制御するための工学で一時的な信頼性の低下は失敗ではないとの解釈を示されました。ゆううきさんは、その解釈の先に新しい山を作って越え、道を作っていくんだな。SREの皆さんが扱う技術領域をよくするために、地図にはない領域を探って扉を開けていかれるのですね。わくわく。技術者がどんなWebシステムも容易に制御可能になって運用が楽になれば、システムや人間にはどんな未来が広がるのでしょう。

AD100年頃にガラスの製造方法が発見されてから、人間は鏡を作り、自画像が描けるようになり、眼鏡や望遠鏡を発明し、カメラレンズそしてテレビ映像の発達に繋がりました。そしてグラスファイバーを活用してWWWがスタートし、今ではスマートフォンで撮影した画像を世界中に公開できます。
研究者のお話から私たちは悠久の時を感じたり未来への想像を膨らませる機会をもらえます。
本講演の次は、SREの未来はどんなだろうと思わされる、SRE "next"にふさわしい基調講演を聴くことができました。

[C1] 絶え間なく変化するメルカリ・メルペイにおけるSREの組織と成長

本セッションは後方で立ち見となりました。外のブースの声が近く、ドアも解放状態でしたので、講演内容全てを聞きとることができませんでした。少し残念。
高木さんパートのスライド「1人目のSRE時代」のくだりはリアリティがあります。1人でSREを立ち上げて手を動かし、最初はtoilも受け入れてできることは全部やる。しんどい1人時代から数年かけて複数チームにするまでの過程を知れることは、これからSREを導入していこうとする組織に大きな学びとなります。

[A2] パフォーマンスを最大化するための SRE のオンボーディング事例

中途採用で入社したSREが新しい環境で成功するために実施したオンボーディング事例を紹介されました。
まず参考にしたいと感じたのは、オンボーディングのゴールはどこかをきっちりと設定して一連を仕組み化されている点です。メルカリさんのSREチームでは、オンボーディングのゴールを「オンコールを担当できる状態になること」としています。
そのための技術知識の習得は、newbie用のチャンネルを作ったり演習問題をこなすなど充実した環境整備がされているようでした。しかしオンコール対応時は技術知識だけでは足りません。オンボーディングに必要な追加項目としてドメイン知識や組織詳細の情報共有を挙げられておりなるほどなあと感じました。
ドメイン知識や組織間コミュニケーションは時間をかけて慣れるしかなく、慣れるまでの時間も人によりばらつきが大きいです。できる限りばらつきを小さく早期にスムースにキャッチアップできるために、メルカリさんでは以下の取り組みを行ない効果を得ているとのことでした。

今後自分が所属している組織でも参考にできる具体例をたくさん拝聴できました。

[A3] freee のエンジニアは障害から何を学び、どう改善しているのか?

いや〜1から10まで勉強になりました。発表最初に「エンジニアとして恥ずかしいことも全部話すつもりできました」とおっしゃった通り、失敗体験含めた事例詳細と改善策を洗いざらい公開してくださいました。
「失敗して攻めよう」が根付いているfreeeさんの文化は素晴らしいと思いました。失敗や障害の一つひとつから学んで、仕組みづくりや対応フローの整備、ポストモーテムの文化醸成など、全社で組織的に改善を進められている姿勢に見習うことは多いです。
幅広く参考にできる具体的な事例がたくさんです。定期的にスライドを目にして、自組織でも取り入れていきたいです。

[A4] 日経電子版SREチーム立ち上げ中

日本経済新聞社さんSREチームの現状紹介も大変興味深くリアルな内容でした。日経電子版のシステムは巨大なだけではなく、さらに内製と外注システムが入り混る複雑な構造で、普段の技術導入やシステム開発も相当たいへんなのではないか?と想像できます。会社として今後電子版に力を入れるためSREチームを立ち上げられたそうですが、当初はSREに求めるスキル保持者はいなかったそうです。「サービスレベルがバラバラ・計測されていない・目標がない」課題は明確だが、チーム全員が兼務で、何から手をつければいいのやらという状況でしたとのお話から、これまでのご苦労が身にしみて感じました。
社内のエンジニアやマネージャに対して、システムの安定性担保は大事ですよねという啓蒙からスタートし、少しずつ理解者協力者を増やしながら、障害対応フローを整備やDevOpsを進められています。次はSLI/SLOの設定・計測にチャレンジされるとのこと、今なおSREチームの立ち上げに挑まれている発表に力をもらいました。
自組織の参考にぜひさせてもらいたいです。

ZOZO MLOps のチームリーディングとSRE(Engineering)

そのっつさんが現職でEM、TLとしてどのようにチームマネジメントをやっているかの紹介でした。マネジメント内容を技術イベントで話すことは滅多にないとのことで、そのっつさんのマネジメント手法が伺える貴重なお話でした。こんなマネージャがいるチームにjoinしたいと思われた方も多いのではないでしょうか。
発表内で特に印象に残った項目は以下です。

  • チーム方向性を定義
    • チームの軸(目標)がぶれないようにちゃんと定義する
      • 意義目標(業務の意味付け)、成果目標(実務ベースの目標)、行動目標(個々人)
  • ルールより文化
    • 意識しなくてもできる当たり前にするように、日々言葉にして伝える・話すことを重視
      • 例「エンジニアはコードがあれば読むのは当たり前」「技術ドキュメントを書くのは当たり前」「やってみてダメなら変えればいい」「技術で殴ろう(細部を追わないと技術で解決できない)」など

お話の端々から、マネジメントのあり方を日々学ばれていることが垣間見えて刺激を受けました。

SRE Practices in Mercari Microservices

メルカリさんのプラットフォームチームTLとして、SREをどう実践しているか「SLI/SLO」「オンコール」「トイル」3点を軸に紹介されました。
deeeeetさんの発表はたいへん綺麗かつ端的に体系化されていて、スライドを見てもそのことが明らかです。加えてSREを実践するための組織背景には、数多くの書籍や事例からdeeetさんが学ばれた理論や手法を導入されており、引き出しの多さに圧倒されます。

メルカリさんのオンコール対応はSREやプラットフォームチームだけじゃなく、サービスチームも担当するというのは新たな知見でした。オンコール対応のシステム区分やオンコール時にどんな判断がなされているかの紹介もあり勉強になりました。
メルカリさんの技術組織力はさすがだなと感じます。「お願いされる」「お願いする」チーム関係をなるだけ排除し、全体最適を重視してできる限り組織的な判断で決めがなされているようでした。組織やチーム・人数が多くなると全体最適がしづらくなります。メルカリさんは、常に新たな技術やノウハウを柔軟に取り込み、仕組み作りと運用を重視して日々のシステム開発を行われていることが伝わりました。

むすび

本イベントに参加できてよかったです。技術組織に所属しているがエンジニアじゃなくSREでもない自分にも得るものが多くありました。
私はいま経営学と技術組織デザインについて書籍・資料と自組織から学んでいる最中です。他社事例を知る機会が少ないなか、これまではSREconの動画を見たりSRE皆さんが語られる「人と技術と組織」を統合したリアルなお話から学んできました。今回は一度に研究者の解釈や複数企業の事例を伺うことができてうれしい情報の洪水でした。
【SRE Next 2020】発表資料まとめ - Qiita 今後このまとめを繰り返し参考にさせてもらうでしょう。

SRE NEXT 2020では、運営メンバ皆さまそして参加者皆さんの親切に救われました。
一人で席についていた時、SREの前職同僚が「一人ですか、自分が解説しましょう」とフォローしてくださったのはうれしかったです。「イベント運営は、一人で来ている参加者や、専門分野外から新しく参加してくれた人を大切にしないといけない。今回自分は運営じゃないけど技術イベントに育ててもらった身としてSREとして協力したい」とお話いただき、自分が知るSRE 皆さんのやさしさをここでも感じることができました。運営メンバ皆さまのサポートも行き届いていて助かりました。
別分野の初心者が一人でイベントに参加するのは勇気がいりますが、そこにいるひとの親切と温かさの後押しがあればえいっと越境することができるように感じます。なので今回のように、お隣の領域で安心して参加や活動ができる経験を自分内に増やしていきたいです。最近はぼちぼちGoogle - Site Reliability Engineeringを訳しはじめています。本職SREの方のサポートが必要になりますが仕上げられるといいな。

参加からはや2週間が経過し、やっとレポートをまとめることができました。
少し遅くなりましたが、SRE NEXT 2020運営皆さま、講演者皆さま、そして参加者皆さまに感謝をお伝えしたいです。ありがとうございました。

参加記録を残すだけに留まらず、ゆくゆくは自分もどこかでお話ができるようになれるといいなぁと妄想しはじめています。

「エンジニアリング組織の基礎知識」を聴いてメモしたこと、感じたこと

11/26-29 の4日間にわたって開催された Internet Week 2019 にて、11/26(火)午前中のセッション「エンジニアリング組織の基礎理論と実践」を拝聴してきました。
登壇者の一人 なりみちさん(@nari_ex, 株式会社ハートビーツ VPoE 高村成道さん)の発表内容は、今後自分が学んだり仕事をするうえで何度も読み返す導になるだろうと考え、手元のメモと感想を記しておきます。

発表資料


発表では、nari_exさんがMBAで学ばれた網羅的な理論と、その理論を業務でどう実践しているかについて紹介されました。過去の経験ではなく、VPoEとして施策を進め直面している実態を盛り込んだ現在進行形のトークでした。組織マネジメントの話題はたくさん目にしますが、技術組織のHRM理論と実践内容をここまで丁寧にリンクさせて体系化した内容を他に知りません。
以下アジェンダに沿ってお話は進みます。

  • 1. 組織マネジメントの全体観をつかむ
    • 特にMBAで学び獲得された理論をベースにマネジメントの全体像を紹介
  • 2. エンジニアリング組織での実践例
    • 1. で紹介した理論を踏まえ、nari_exさんが所属する技術組織での実践例を紹介
  • 3. 組織マネジメントでの実践に向けて
    • 1. と2. の総括。マネジメントの難しさについてnari_exさんの経験と考えを紹介

拝聴しながら殴り書いたメモを自学のために後述します。nari_exさんの主旨と異なる内容があるかもしれません。あらかじめご容赦ください。

手元メモ

  • 聴講者イメージ
    • マネージャになって困っている方、困ったことがある方
    • マネージャとしてマネジメントをどう進めたらよいかわからない方
    • 組織の全体観をつかんでマネジメントの基礎を固めたいと考えている方
1. 組織マネジメントの全体観について
  • 前提として、組織マネジメントとは企業の目的・目標・ビジョンに向けて活動するものである。つまり組織マネジメントには経営戦略が密接に関わることを忘れてはいけない
  • そのうえでマネジメントには2つのアプローチがある
    • 1つめ:仕組みによるアプローチ。一般的には人的資源管理と呼ばれるもの
    • 2つめ : 対人的なアプローチ。リーダーシップとかモチベーションなどひとそのものに関わるもの
  • これらに働きかけることで組織構成者である従業員個々のふるまいに寄与 → 組織目的の達成に繋げる
仕組みによるアプローチの紹介
  • HRM(人材マネジメント)のフレームワークを整備
    • HR戦略策定
      • 組織規模による求める人物像の策定など
    • HRMシステムの整備
      • 戦略に従い、採用~退職までの制度設計、運用方針策定
    • 組織構造の整備
      • 指示命令系統や各レイヤごとの役割定義など

仕組みによるアプローチは、従業員が迷うことなく働きやすい業務環境をつくるうえで言語化しておくことが必要。組織規模により随時アップデートする。

対人的なアプローチの紹介
  • logical
  • emotional
    • 心理学、進化論、脳科学...
      • ひとを語る上で上記分類がなされることが多いが異論もある。この発表で詳細は述べない
  • スペンサーの氷山モデルは、対人アプローチを考えるうえで nari_exさんの役に立った
    • スキル知識(見えているもの)
    • 自己概念・特性・動機(隠れているもの)
      • スキル知識のように「見えているもの」に焦点を当てがちだが、隠れている「自己概念・特性・動機」にもしっかりと意識をすることが重要
      • スペンサーの理論を知ったことで、nari_exさんはメンバとお話する際の意識が変わった
  • ボヤティズ「コンピテンシー概念図」でも同じことが言える
  • レヴィン「組織変革プロセス」理論に従い、繰り返しメンバに働きかけて変化を促していく
    • 解凍(現場のメンバに説明し、理解してもらうフェーズ)→変革(変化するために施策を実行していく)→再凍結(変化に必要な施策を定着していく)

仕組みと対人、両輪をうまく回していくことが組織開発には必要。

2. エンジニアリング組織での実践例:ハートビーツさんについて
  • 社員数 80人程度、うち7~8割がエンジニア
    • 高い技術力と親身な対応が社のバリュー
    • インフラエンジニアの採用難易度が高いため、未経験者の育成も組織的におこなう
  • マネジメントの方針
    • モチベーション管理、技術力の維持向上拡大
    • 技術に対して誠実、真面目、真摯な企業文化の形成
    • 未経験者でも一人前になれるような研修制度をデザイン
実践例 :仕組み
  • エンジニアの人物像(CTOの馬場さんによる)
  • マネージャが見る人数を制限/スパン・オブ・コール
    • 7人までとしている
  • 組織構造
    • CTOだけじゃなく、エンジニアリング組織の責任者としてVPoEを新たに設置 > nari_exさん
      • 80人くらいで頭打ちしたため、組織構造を変えた
      • サイロ化を防ぐために営業と技術者を同事業部の配下に配置。VPoEは事業側も見ている
  • 採用
    • 採用難易度をさげる取り組みを実施。選考ステップを限りなく簡略化
    • リファラル・スカウト重視へ
    • 配属先のマネージャがメインで参加。面接、異動の責任を持つ
  • 評価制度
    • 評価と給与の連動ロジックを明文化し透明性を担保した。メンバにがんばる先を見せる
    • 数年ごとに人事評価シートを刷新
    • 業務内容によって評価軸も都度刷新している
      • nari_exさんがVPoEとして担当
  • 育成
    • 研修カリキュラムの新設、導入
    • パスゴール理論、シチュエーショナルなリーダーシップに基づく思想を重視
    • 研修では面談を実施。学んだことを実行できるかの確認のため口頭試問を導入
      • 主担当研修の最終カリキュラムでは、ホワイトボードで4つ程度の状況説明 (障害対応)をやってもらう。1発でクリアするメンバはなかなかいない
実践例: 対人
  • 思考を直す?行動を直す?スペンサーの氷山の話はよく考える
  • 不調時の対応
    • 気持ちが上がらなくて業務ができない。メンタルヘルス系の知識も必要なのでマネージャは知識を身につける
  • ストレスチェック
    • 半年に一度やっている
  • ラインケア
    • 1on1, メンタリング(ラインじゃない利害関係がないひとが担当をする。話しやすい環境づくり)
  • CTOが半年に一度技術戦略を話す場を設ける
    • クラウドとかサーバレスの潮流が来ている。我々も技術のキャッチや準備をちゃんとするように、等の話をしている
  • CTOとVPoEの明確化
    • ビジネスと技術の調整・綱引きをお互いに連携する
    • お互いの強みを活かす役割分担を意識
3. 組織マネジメントの実践に向けて:マネジメントの難点
  • 知識を実践する難しさを実感
    • 人間が人間に対する働きかけはプログラミングと異なる。再現性が乏しい、ステートフル
  • 常に意識している2点  ①現状をちゃんと知ること ②あるべき姿を変えることは難しいと認識すること
    • ほんとに今の環境を知ることはだいじ。じゃないと失敗する。他社がやっているから〜で判断しないほうがいいと考える
    • 自組織が目指すことは何なのか?自組織に必要なことは何か?導入できることできないことの見極めもすごく大事。マネジメントの難しいポイントだ
  • さらに難しいこと
    • カッツ理論でコンセプチュアルスキルと呼ばれるヒューマンスキル・人間性の部分
    • 自分を含めてひとはなかなか変えられない、変われない。マネージャである我々自身がどうブラッシュアップしていけるのか
    • nari_exさんは、柔軟さと素直さを大切に考えている。日々精進
          • 殴り書きメモここまで

感想

贅を尽くした内容に圧倒されました。技術組織の組織開発に関して、経営戦略や組織理論+なりみちさんのご経験をがっちゃんこし、それをさらに濃縮して体系化した貴重なお話を聴かせていただきました。
終盤で伝えられたコメントが印象に残っています。

  • 現状を正しく把握することはすごく難しい。正しく把握していない状態で間違った実践をすると取り返しがつかないことになる。いまの状態を正しくわかることは大切
  • いろいろ話をしてきたが毎日ひいひい言っています。ぜんぜんうまくいかない。反省ばかり
  • カッツ理論で示すコンセプチュアルスキル、ヒューマンスキルは重要だと感じています。自分がよりよく変わること、まだまだ人間性を磨かないといけない。日々精進です

これほどの努力家でもまだ足りないのんか〜。スライド p.60 「マネジメントスキル沼にようこそ」の一文が重みを増します。そして上記3つは、組織開発に限定されないことにも気づかされます。

組織開発において「仕組み」「対人」どのアプローチを取る場合も、なりみちさんはプロセスを重視されていることが言葉の端々からわかりました。
理論や知識はあくまでもツールで、持ち札として活用するスタンスです。いまの組織状態を把握することに重きを置き、状態次第で適切な持ち札を選定したり組み合わせを検討する。最適なツールが見つからない時は、持ち札を足し引きアレンジして、自組織にフィットする施策を創出する。
サービスやシステム開発においても通ずるように思います。
施策を実行する際には、想定できるポジネガあらゆる可能性に対応できるよう準備し、社のビジョンに沿うものか検討を重ね、試行錯誤しながら慎重に丁寧に実践を積み重ねておられるのでした。

そうして、組織の「関係の質」がよくなり、気づきが生まれて「思考の質」が変わり、メンバの「行動の質」が変化して「結果の質」が高まり、企業の成果に繋がる。
この因果関係は、ダニエル・キムの「組織の成功循環モデル」としてよく話題にされますが、指揮官としてまさにそのプロセスを実践されています。

発表中、少し前に読んだ入門 組織開発 活き活きと働ける職場をつくる (光文社新書)を思い出しました。本書では組織における諸問題は以下の4つに分類されると記載があります。

  1. 戦略的な問題
  2. 技術構造的な問題
  3. 人材マネジメントの問題
  4. ヒューマンプロセスの問題

講演内容は 2. 3. 4. を包含しており、組織問題の大部分で参照できると感じています。

むすび

長くなりました。
なりみちさんの技術者・組織開発者の歩みをお伺いして、ずっとなにかがぐるぐると脳裏を過ぎっていました。どこかで読んだ一節となりみちさんのお考えやふるまいが繋がる気がして、それがなにであるか、愛読本UNIXという考え方―その設計思想と哲学 最終章フレーズに見つけられたので書き留めます。いかがでしょうか > なりみちさん

UNIXの考え方とは、常に将来を見据えながらオペレーティングシステムとソフトウェアの開発にアプローチすることだ。
そこでは、常に変化し続ける正解が想定されている。

将来は予測できない。現在についてあらゆることを知っていても、その知識はまだまだ不完全なことは認めざるをえない。
ソフトウェアを開発するにせよ、子どもたちのためにより良い世界を築くにせよ、将来はガラス越しにしか見えない。
いつか、すべての答えがわかる日がくるかもしれないが、それまでは前進し続けれなければならない。いつか、すべての答えを知る時がやってくるのかもしれないが、それまでは、一日ごとに「今日」が「昨日」担っていく日々を過ごしながら、将来に適応し、前進し続けなければならない。

UNIXの理念は、そういう将来に向かうアプローチの一つだ。
その本質は柔軟でありつづけることだ。
嵐が何度やってきても、風に揺れる木は折れることがない。

自分みたいなぐうたら初学者に対しても丁寧な助言をくださり感謝しています。貴重なお話を聴かせていただいてありがとうございました。

私は何年か前まで自分の在り方を決められずにいました。劣等感ばかり立派で情報弱者を気に病み、身近にロールモデルがほしいと思っていました。後ろを追いかけていれば不安が軽くなる気がしたからです。
今回「エンジニアリング組織の基礎知識」を拝聴し、なりみちさんの歩みを聞いて、当時の自分を恥ずかしく思います。今でもロールモデルはいません。でも機会と経験と感情から学ぶことを知りました。
スライドp.56 の一文が自分に力をくれます。

「こうやればよい」という決まりきったかたちはない

10/9 (水) 関西空港 > Helsinki > Madrid

1日目は移動して終了。ヘルシンキ経由でマドリードに入る旅程である。
空路だけで15時間近くを要してさっきやっとこマドリードのホテルに着きました。スペインは遠いよーー。

Helsinki

ヘルシンキ空港間近の上空からそこらじゅうの木々が黄に色づいているのが見えて、遠い場所に来たのだなぁと実感する。京都より1.5~2か月ほど季節がはやい。そういえばヘルシンキ空港のパネルで表示された気温に7℃とあり、どおりで寒いはずだ。

ヘルシンキで待ち時間が2時間ほどあったので、空港内のコーヒーショップでカプチーノを飲みながら行き交うひとを見て過ごした。半袖のひと、毛糸の帽子に冬の装いをするひと、みんなそれぞれここから別の地に降りていくのだなぁ。そんなことを思いながらうとうとねむくなる。

Madrid

ヘルシンキから4時間半あまりの空の旅は、隣席になったフィンランド人の女性とのおしゃべりタイムだった。フィンランドのouluに住み、今日はマドリードへ出張のために乗ったそうだ。お互いに英語が母語じゃないのがよかったように思う。お互いの行き先や住んでいる場所についてゆっくりのんびり話をし、時に How can I say... とか I don't know what I say, please wait a minutes sorry...と二人して考え込んだりしながらフィンランドと日本の情報交換をした。フィンランドでは、今冬の初雪が先週あったのよとご自宅の雪景色写真を見せてもらった。スペインの美食が楽しみなのだと伝えたら、バルセロナはシーフードがおいしいとおすすめしてもらった。
マドリード行きの便はFinnairとAlitaria航空の共同運行便で、国際線 Finnairの乗客と随分雰囲気が違うように感じた。シートベルトサインが消えると、わらわら席を立ち上がってそこかしこでおしゃべりがスタートする。なんとなくみんなにこにこしていて、CAの対応もとてもカジュアルで、ラテンの陽気を垣間見た気がした。
20:00pmごろにマドリードの上空で見た夕空のグラデーションの美しさに感動。まもなくしてマドリード空港着。フィンランド人の女性と手を振って別れた。こういう出会いがあるのはいいですね。

今の時間は10/9(水) 23:50。長い1日だった。
明日はマドリードの街周辺の散策とプラド美術館に行く予定。ねむい。細切れな睡眠のせいか頭がふらふらしています。

2019年 折り返し

職場が変わって3ヵ月近く経ち、2019年は半分が過ぎました。

新しい環境

自分が勤務する大阪オフィスはフリーアドレスで固定席がありません。そのため、出社して業務スペースを確保することから1日がスタートします。窓に近い静かな隅の席に空きが見つかればラッキーな日。
現職では組織を横断して働く立ち位置で、前職と異なり所属チームがないため、出社して誰とも話さず仕事をするのは寂しく感じました。今はだいぶん慣れて、自分のペースで仕事ができ始めています。
仕事に煮詰まると気分転換に高層ビルからの景色を眺めます。ほかには、オフィスの未開拓エリアを散歩したり(名の通り未開拓でがらんどうのスペースがある)エレベーターに乗ってコーヒーを買いに出てみたり、その時の気分でふらふらと歩き回っています。
ランチを取る時間や場所の決まりはなく、働き方オフィス環境どちらもこうでないといけないという決め事はなるだけ排除されています。

また、自由な働き方が制度として認められています。社がこだわる働き方を知った時、社員に対する期待と信頼そしてクリエイティビティに対する強い意思がないと設計できない思想だと思えました。
たとえば、定められた業務時間を前提に、出社退勤時刻は自由に調整が可能。有給休暇は入社当日から担保されていて、別に夏季や記念日休暇を確保。業務に支障がなければリモート勤務OK。副業やパラレルキャリアが認められているなど、個の自律と余白が重視されています。

近況

そのような組織で私は新設のポジションに就くことになりました。各部門やグループチームのMgr陣と組織開発に関わる役割で、名刺に「技術本部」とある以外は、具体的な肩書き所属、職種はありません。次の仕事はこれねと指示があるわけでもなく、どう働きどうパフォーマンスを発揮するかは自分で決めます。これまでにない自由な働き方は、しばらくのあいだ自分を少し不安にしました。

入社して数週間が過ぎたころに社長とランチをご一緒する機会がありました。最近どうですか?と問われ、組織に線が足りないように見えること、そして線を引くことが自分の役割な気がしていますと伝えたことを覚えています。社長はそうかぁと少し考えて、そのあとに「あなたの目標(期待値)の最上位に、組織基盤の設計者になりたいと書いておいてくださいね」と話がありました。それがやりたくて私は働く場所を変えたのでした。

月に何度か東京オフィスに出向き、複数名のMgrにオーラルヒストリーを実施し、組織の歴史と現状を知って今後の施策に繋げる準備や提案をしています。まだまだ貢献できているとは言えませんが、社や同僚みなさんの優しさや気遣いと自分のポジションに対する理解に感謝しています。
7月から人事戦略チームに参加させてもらっています。勉強していかなければ。

組織基盤の設計者。なにをすれば設計者として必要な力が身につくのでしょう?日々学んだり考えたり教わっているのは、知識や技術ではなくて、勇気をもって自分で自分の道を進めることかもしれません。

2019年7月〜 計画

脳内でぼやぼやと考えていることを2つ。
1. についてはこのあと職場や知人、識者に詳細をヒアリングさせてもらう予定でいます。
1. 体系学習

2. Antoni Gaudi
先日 ガウディの伝言 (光文社新書)を読んで影響を受けました。
もともとシステムぽいものや多種多様な思想や材料を組み合わせて構築したものに関心があり、上の著書を読んでガウディが設計した建造物に強く興味を抱きました。ガウディは曲線と複雑怪奇なデザインを多用する建築家として知られますが、その思想や彫刻家との関わりは"自然"にあり、シンプルを重視したものであったようです。こんな言葉を遺しています。

創造的であろうとして意味の無いものを付け加えてはいけない。
自然の原理をよく観察しそれをよりよくしようと努力するだけでいい。

ガウディは一体どんなアーキテクトだったのでしょう。実物を見にスペインに出向きたいなと考えています。秋かな。

自分のこと

目にするコンテンツや情報が変化したように思います。1対多の情報が流れるタイムラインを眺める時間が減ってこれまで以上に世情や流行に疎いです。そのぶん1対1/少数で接したりお喋りしたいと思うことが増えました。
ちょっと前にこのブログで書いた過去数年間のエントリや 2019年 を読み返しました。過去の自分が自分じゃないように感じたり、過去の言葉から気づかせてもらうことがありました。友人がくれた「一つのステップを挑戦して、考えて、感じて、楽しんでください」いい言葉だなぁ。

最近は、私が決めていまこうしている実感がもてている気がします。自分がどう感じるかも自分が決めればよい。できることなら他者がどうとかじゃなく自分なりに考えて歩いていきたい。時に感情のコントロールがむずかしくても、自分の感情だって自分で決められるのだと思えると清々しい気持ちになります。
髪型を以前のおかっぱボブに戻したら自分を取り戻した気分になったのも最近のことです。

今まで通りふらっと散歩に出かけたり素朴でおいしいものを食べたり、夜のカフェタイムをして自分の時間を過ごしたい。
なるべく好きなもの美しいものを見て、よい風を感じていたいなー。

夜のカフェタイム

気が緩んだのか新しい環境に慣れたせいかすこし気持ちが疲れてしまって、ホームシックのような感情が押し寄せていた。5月から新しい働きかたや役割や人間関係、通勤時間、職場環境、起床時刻の前倒しなど、新しい情報を入手したり近辺の変化が重なったせいだろうか。

気のおけないひとと会って話がしたい、おしゃべりしながらゆっくり静かな時間を過ごしたい。日に何度もそんな考えがこみ上げる。だけれども、明るく楽しい話題や具体的な報告事項があるわけではないのだ。よくわからんけど喋りたいという時、私たちはどうやってお誘いすればいいんだろう?

理由もなく誘われても困るよねとか、自分のわがままで他者の時間を搾取したくないとか、ぐるぐる迷ってはしゅんとするを繰り返して、前に読んだエッセイに「ちょっとこみいった内容は会って話すのがいちばん」と書かれていたのを思い出した。自分にとってこれは夜のカフェタイムだなぁ。夜のカフェタイムがしたい。
「いろいろ話がしたい、ちょっとどこかでお茶していきませんか?」と言って、いまこんなことをしているのとか、いま何につまづいているのとか、これを読んでこう思ったとか、この紅茶とケーキはおいしいとか、そういう身の回りや価値観や他愛のない話がしたかった。

遠くて知らない誰かの、人目を引く強い感情や言葉や情報は疲れてしまう。影響を受けたり流されてしまうのはいやだなぁと思う。
それらに当てはまらない、もっと身近な、ほんのりした考えとか思いとかほのぼのした繋がりとかぼや〜とした時間を過ごしたい。こんなぐんにゃり情けない感じが自分の素である。
隠者のようにどんより思い耽っていた時、タイミングよく気のおけないやさしい人たちがうえーいと自分の閉じたドアをノックしてくれた。

しゃべったり話を聞いたりするうちに、自然と気分が凪いだり自分の在り方を考えるきっかけをもらえて救われた。もし次に同じようなことがあれば、断られてもいいからちょっとお茶しませんか?とお誘いしたい。誘ってほしい。

自分が歩みを進めていくには、夜のカフェタイムと気のおけない存在が必要。身近だけどなににも代えがたい贅沢な時間を大切にしていく。