未来のために振り返りをする

寝る前に1日の振り返りをすることを日課にしている。こんな具合。

  • 起床から寝るまでの自分の時間と周辺出来事と感情を追体験
  • 他者の言葉、とくに自分の言動を思い巡らせる
  • なんであんな言動をしてしまったのだろう?よかったのかな?よくなかったな。うれしかったな〜等々、自己嫌悪したりうれしいことなら喜び倍増
    • 毎日の自分を内省することで、修正と学びの循環ができるようになる(といいな)

振り返りをするようになったきっかけは祖母の言葉だ。
随分前に自分の選択について母と意見が衝突したことがあった。母の理解がなかなか得られず、母方の祖母に話をしてアドバイスをもらおうとした。
祖母は一通り話を聞いて「どちらの言い分も間違っていない」とエクスキューズしてから「それであなたはなぜそう思ったのか?それは自分にとってどんな意味があることか」「ひとから学べ」と言った。「ひとは生活とひとからしか学び得ない」という表現だったかもしれない。
続けて「嫌だと思うことは自分を振り返る機会に、うれしいと思うことは自分の手本にしなさい」「毎日の出来事を無駄にしてはいけない」「自分の人生なんだから最後は自分で決めるしかないが、理解が得られるまで話をしてほしい」というようなことを言った。母とのコンフリクトについて具体的な助言はなかった。でも祖母の言葉を受けて、母は母なりに自分を心配しているのだろうとか、自分の言い方が悪かったなぁとか、別角度で内省するきっかけを与えられたように記憶している。

思えば祖母の話は経験学習 (1) の考えに近しい。経験学習のベースとなる考えを唱える哲学者 John Deweyの言葉にこうある。

  • 人は能動的に環境にはたらきかけ経験を積み、経験に対するリフレクション(内省)を通して知を作る
    • We don't learn from experinence. We learn from reflecting on our experience. "How we think."

毎日の出来事を内省し、経験から知を作れということだ。Korthagen,Fred A.J.(コルトハーヘン, ユトレヒト大学の心理学者, 教師教育学)によって提唱されている、よい内省を生むための振り返り方法を後述したい。

  • 振り返り4軸
    • 行動(事実)
    • 認知(事実は客観的にどう捉えられるか)
    • 感情(それに対する自分は)
    • 願望(未来はどうしたい?)

ひとの感情はそのあとの行動やアウトプットに大いに影響する。ならば振り返りに感情を含め、上手に認知的不協和を利用しようということだろう。

振り返りの最中、思い込みや表面的な理解で意見をしていることがなんて多いのだ、と自己嫌悪やら恥ずかしいやら情けない感情が常に押し寄せてくる。
そんな恥ずかしい自分だが、再発防止を心がけることはできる。未来の自分は今日より少しはマシ。私は未来の「こうありたい」のために振り返りをしているのだ。
こうありたいに近づくために何をすればいいのかは簡単に見通せない。しかし、修正しよう、これは自分から排除しよう、ならわかる。英国のノーベル文学者 ウィンストン・チャーチルの言葉を思い出す。

過去のことは過去のことだといって片付けてしまえば、それによって、我々は未来をも放棄してしまうことになる

祖母は考えることや感じることを人より多くやっているように見える。自分もいつしかそんな風になれるよう、今夜も1日を振り返る。

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