十二国記(上)(下)

読了。

「月の影 影の海」サブタイトルが美しい。素敵。香辛料系ファンタジー作品ですね。旅と人との出会いを描いた好みのタイプの物語でした。

冒頭しばらくは辛いシーンが続きます。主人公(陽子)のおかれた理不尽極まりない状況を通して幾度も「なんのために生きてんだ」「ああもう元の世界に戻った方がいいよ」そんな気持ちになった。また登場人物の言動から自分の醜さを突きつけられるような感情が湧いてきたりしてしんどい。しかし楽俊との出会いにより陽子自身そして彼女を取り巻く状況にどんどん変化が訪れ、その様子が小気味がよくぐんぐんストーリーに引き込まれるので、つらい箇所で読む手を止めなくてよかったです。下巻中盤あたりからは朝まで一気読みしました。楽俊素敵だー。

読了後しばらく現実に戻れない警報が発令したままでした。喜怒哀楽すべての感情をこの2冊で味わわせてもらえる。小野さんの筆力が圧倒的ですごい。

自分を理解しよう支えてくれようとする存在が一人でもいれば人は立っていられる。下巻終盤 楽俊が陽子に掛ける心遣いと言葉にこみ上げてくるものがありました。続編が楽しみ。