WSA研究会 #4 で縁側トークをしました

このエントリは、4/13(土)に京都で開催された第4回 WSA研究会 に参加した記録です。

縁側トーク経営学と組織デザインを通して考えたいこと」

speakerdeck.com

いただいた質問とコメント

  • 今回の発表内容について主な対象となるのは、企業の技術・研究組織あるいはアカデミックの組織?どちらをイメージしているか?
    • どちらにも当てはめて考えたいが、主対象としているのは企業の技術・研究組織です
  • 発表内で「技術進歩のスピードが速い」という話があった。技術や研究現場にいて、技術進歩のスピードが速いというのはどういうことなのかな?とよく考えることがある。速ければどうなのか、どうしていかないといけないのか。その点について考えはあるか?
    • 自分の勉強不足で曖昧かつわかりづらい表現になってしまった。技術進歩のスピードが速いというのは、開発者が新しい技術を日進月歩でどんどんと生み出されている状態をイメージしている。技術を使う側はどんどんと生み出される新技術をキャッチし、自分らの組織にフィットするかを見極めないといけない。組織ごとに、自分たちにとって本当に必要な技術とは何か?何を求めないといけないのか?の審美眼というか新しい技術を見極める目を肥やしていく必要があると思う。そういった点で自分は未熟であり、もっと学び考えていく必要がある
  • 新しい技術が生み出されるということは、レガシーな技術も生まれるということ。その点について考えはあるか
    • 組織が新たな技術を採用する時に、賞味期限というか短期的に使うのか、それとも長期的に使うのかを決めて置く必要はあるかもしれない。技術を採用する時点で、メンテナンスをどうするかを決めておくなど。他にも議論が必要なのだと思うが、未熟ゆえこれ以上のお答えができない
  • 発表の中で「頼りにしあう」という話があった。頼りにしあう同士になると、ひとの評価のしづらさがあるんだろうなぁとイメージする。頼りにしあう組織として、ひとをどう評価していくのかという視点は考えていく必要があるかもしれない
    • たしかに、そう思います
      • OKRの考えを重視して評価すれば、信頼感やチームワークを損ねることなく評価ができるかも?
  • 経営学の起源が間違えている。1980年代ではなく、1920年ごろ米国でフレデリック・テイラーにより「科学的管理法」として発祥している。またアポロ計画は1980年以前でありその観点でも矛盾がある
    • 勉強不足で発表内容に誤りがありました

全体の感想

WSA研に参加させてもらって いいな〜有意義だな!と感じることの一つに、参加者の方々がみなとても楽しそうに発表されることが挙げられます。
参加者全員が発表し、参加者全員が全発表にフルコミットするスタイルが、お客さんを作らない全員参加型の文化を強化しているように感じます。コメントや質問だけではなく、時には発表者に提案が寄せられるのもすごくいいなあと思います。どの議論を聞いても、参加者はそれぞれの技術領域や関心分野に持ち帰ることができる。各々が知識創造できる実践共同体の文化が自然に醸成されているようです。
私は発表内容や議論のすべてを理解することはできませんが、それでも聞いたことがある単語や情報を脳内から引っ張り出し、繋いで、それぞれの登壇内容を頭の中で絵にしていました。理解の及ばない内容であっても、知らない世界やいくつもの知的研究の渦に浸れる機会は大変貴重です。
前回と同様に、参加者皆さんの発表を拝聴しながら「この方がこの先に見たい世界とはなんだろうか」と心の中で問うていました。
慣れた毎日とは別の1日を過ごすことができました。

印象に残った発表

どの発表も興味深く、また未来が感じられるお話ばかりでした。
中でも itkqさんの発表 第4回 WSA 研究会に参加した「カオスエンジニアリングはどこから来たのか、その先には何があるのか」は大変興味深く拝聴しました。
これまでにもカオスエンジニアリングというワードは目にしたりNetflixの資料を読んだりしていましたが、発表を通してその背景や考え方について詳しく学ぶことができました。 "半脆弱性" という新しい概念や自然界における生命のサイクルをヒントに、ウェブシステムのあり方を考えていけるのではないか? という問いに大変わくわくしました。このような問いから新たな何かが生まれるのですね。説明がクリアで示唆に富み、itkqさんの思考の深さを伺い知れる発表でした。

思考段階の技術展望や構想について発表することができること、そして参加者それぞれの関心や知見を持ち寄り議論できることが、WSA研にあって他にはない大きな魅力に感じます。

個人的な振り返り

予稿と発表資料を作る過程で、自分は組織基盤の設計者になりたいのだなぁという発見がありました。このことは今後の自分にとって大きな一歩だと思っています。
一方で、予稿も当日の発表内容も不完全で稚拙な出来に終わりました。精一杯取り組んだものの勉強不足、力不足に尽きます。

#4準備中は苦心に苦心を重ねました。過去や現在の報告ではなく、未来を自分の言葉にしてまとめることは想像以上に大変で苦労しました。自分の中の朧げな展望を言葉にして作っていくことの難しさを知りました。

「研究計画書」をイメージして予稿に手をつけましたが、研究経験がない自分には全てが未知でした。研究計画 書き方 初心者 で何回検索したかわかりません。「研究」を意識しすぎたかな?

当然のことですが難しいのは書き方ではなく、自分がやりたいことの目標目的や展望を明確に他者に伝えることの方だとわかってきます。フォーマットが理解できても他者に伝わる研究計画を書くことは不可能です。自分はまだ組織に関する考えやデザインについて、他者に論理的に説明できるだけの力と知識・情報を持ち合わせていないことを痛感しました。未熟でした。

自身の研究課題設定をして年単位の研究計画を立て、未来にコミットしながら試行錯誤し探求を続けられている研究者の方々のすごさを思い知りました。

予稿および当日の発表は不甲斐ない内容でしたが、それでもお付き合いただいた参加者皆さまには心から感謝しています。
この振り返り内容を、未来の自分が懐かしく笑って読むことができるよう私なりに努力したい。

キーワード

謝辞

重ねて、運営メンバおよび参加者の皆さまには、分野外で専門領域を持たない自分に時間を割いていただいたことに心から感謝します。
自身の現状を知る機会をいただけたことは大きな収穫です。

この3月にMBAを修了されたnari_exさんには、組織に対する考えやMBAでの学びについて具体的な助言や情報をいくつもいただき刺激を受けました。自分が進もうとする道の近くを既に歩まれた方にお話が聞けると意欲が増します。
そして発表中の助言や越境し挑戦したことを評価してくださったゆううきさん、自分の発表にコメントや質問をいただいた皆さまにも感謝しています。たくさんの力と気づきをいただきました。

まさよしさんには随分助けていただきました。大感謝です。
多忙の最中にも関わらず壁打ち相手をしてくださってありがとうございます。自分のとっちらかった脳内を整理し、別の言葉に言い換えて助言してもらったりで、相当骨が折れたと思います。おかげでようやっと予稿を書き発表することができました。

自分の中にある課題イメージを具体化し、どう解決するのか。道筋を分解して考えることが次の課題です。

さいごに

5月から新たな環境で組織づくりの一端を担わせてもらうことになります。
このあとは自分の関心領域で歩みを進め、いつかまたWSA研の皆さまによい報告ができるように精進します。
がんばろ〜。

WSA研#4 縁側トーク : 変化に強い組織づくりを容易にする組織デザイン

WSA研の趣旨「Webを中心とした様々な技術要素および要素のつながりを含む系全体」と自分の関心分野「ひとが集団を成す組織基盤」は、すこし遠いですが近接領域にあると考えて、#4に参加希望をさせていただきました。

まえがき

ここに記載する内容は、自分の経営学修士(以下、MBAと記載) あるいはデザインスクール (D-school) 挑戦に対する意思表明となります。
皆さまからフィードバックを受けてブラッシュアップし、受験時に必要となる研究計画書に落とし込みたいと考えています。WSA #4 で言葉にして発表させてもらうことで、ぐうたらな自分でもこの挑戦に向けてがんばれると思いました。
WSA研の開催趣旨から逸れてしまうこと、研究に纏わるお作法が未学習であることをご容赦ください。

もくじ

  • 組織の定義
  • 研究目的
  • 研究対象
  • 研究テーマ
  • 研究項目案
  • 今後の課題
  • 学ぶ理由

組織の定義

本エントリで扱う組織の定義は、Puranam, Alexy & Reitzigらが提唱した「志向適性、保有情報、関心、知識などが異なる個人や集団同士の調整的な活動のシステム」を採用する。(1)
組織は複数の部門から成り、認識可能な境界線を持ち、システムレベルの目的や目標に対して各々の部門の貢献が期待される。境界線があることと部門それぞれが目標を持っていることで、組織全体をユニークたらしめているという考えかたである。

このような組織に対して、組織デザインによって解決するべき課題は大きく分けると二つ。いかに「分業するか」「目標に対する実行/成果の統合をするか」となる。それぞれが扱う内容について後述する。

  • 分業
    • 分割と分配
    • 組織全体の目標を達成するためにタスクを分割し、各々の部門および個に割り当てることを意味する
    • 組織デザインにおけるタスク配分は、分割されたタスクを、組織内の個や集団に配分することを意味する
    • タスクの性質および難易度から配分先の役割を決定する。役割に適した人材および集団をアサイン(採用)するというようなプロセスを含む
    • 組織経営において必要となるビジョンや目標策定もここに含む
  • 目標に対する実行/成果の統合
    • 報酬(金銭的・非金銭的)と情報を提供する
    • 組織内における協働と活動の調整を促す(組織へのコミットメントとモチベーション)
    • 協働するには、組織内の個々が協力して働くようなエンゲージメントを生み出す必要がある(モチベーション)
      • 具体的には、他者の協力を促進する内発的動機付けもしくは外発的動機付け(非金銭的・金銭的報酬)がある
    • 調整を行うために、組織内の個々がもつ情報を別の個々に共有する(コミュニケーションデザイン
    • 目標や目的に対する達成度を評価する(アウトプット評価)

上述の通り、組織とは人々が集まって協働するシステムである。つまり、組織内で個々や集団が活動し、活動内容が組織全体のアウトプットとなる。そこではどのようにタスクを分割し配分して、個と組織が活動していくのだろうか?たんにタスクを分割し配分しただけでは個も組織もばらばらになってしまうだろう。

組織には特定の設計者が必要となる。設計者は、そこでどのような分業の体系を構築するのか、どのようなリワード(報酬)システムを組むのか、どれぐらいの権限の階層へと垂直的に分化させるのか、そこにどういう運用ルールを埋め込むのかを考える。組織全体の目標達成のために、個や集団の活動をどのように統合し、組織をどう組み合わせてアウトプットできるかのアウトラインを描く。
組織デザインを考えるときには、集団と個の両軸で検討していく。

研究目的(爆発中)

  • 技術の世界にユニークで新たな価値を創出するための組織経営地図をつくる (TBD)
    • 組織デザインの考察を進め、組織経営に関わるBoardメンバに役立つクエストマップをつくりたい(妄想)
    • どのクエストを巡るかは、経営戦略、ビジョンそして組織が共有する物語によって異なるのだろう(妄想)
      • 組織の歩き方(デザインパターン)を示した地図を作りたいSRE本みたいな。ゴールまで遠くても、歩き方があれば迷ったり悩んでも現状把握や道しるべを見つけられて安心できる(妄想)
    • 自分が地図をイメージするとき、天体地図、世界地図、天気図、SRE本、Skyrim 全ロケーションMap を思い浮かべる。これらは私たちが歩みを進めている世界の未来予測、方向付け、現状理解、振り返り、クエストの把握など、複数の目的に応えてくれる標だ。組織基盤や組織開発に関わるひとにとって、自分の研究内容が、地図のごとく活用可能になればうれしい(希望)

イメージ図

Site Reliability Engineering: How Google Runs Production Systems (English Edition)

Site Reliability Engineering: How Google Runs Production Systems (English Edition)

研究テーマ

  • 変化に強い組織づくりを容易にする組織デザイン ~ 自律的な個と物語を添えて 

技術進歩のスピードが速く顧客のニーズが変化しやすいといった不確実性が高い事業環境競争にある組織で、いかに「価値の創出」「市場の先読み」「外的環境への追従」「差別化」「働きがい」といった競争戦略を、組織デザインの観点で解決できるかを明らかにする。

研究対象

  • 技術をベースとした事業経営を行う研究あるいは技術組織全体
  • 組織の基盤づくりに携わるひと(Board、VPoE、CHRO等) と、チームメンバ
  • Profit and Loss Statement (P/L)
    • Balance Seat (B/S)

今後自分が深く関わり、現場に近い場所で現場の空気を吸って研究や実験を試みたい。そして組織を成すひとびとが、どんな息づかいで、どんな考えでその組織で生活しているのかについても焦点をあてる。

研究項目案

  • 経営管理とマネジメント・イノベーション
    • 組織目標を実現するために、経営管理の施策、プロセス、構造、技法、創造と実施すること
    • 1. モチベーション、2. 発明、3. 導入、4. 理論化とネーミング (5)
      • 企業の経営方針と一致しており、企業が直面している問題を解決することを論理的に説明する方法を考え、社内から支持が得られるよう、新しい経営管理の方法の魅力的なネーミングを考え、伝達する
      • 経営管理の正当性を担保する条件:実用的正当性(従業員にとってメリットがある)、道徳的正当性(組織の方針や価値観と一致している)、認知的正当性(導入効果が論理的に納得できる)
  • 競争戦略と競争の型の見極め
  • ビジネスモデルのフロー
    • 価値の創造
    • 社内外でどのような相手とどう取引をするかの選択
    • それらをどう構造するのか
    • ガバナンスの主体
    • 取引先との全体デザイン
優れたビジネスモデルの要件:
 1. 効率性 (Efficiency)
    取引上のコストを抑えられたビジネスモデルデザイン
 2. 補完性 (Complementarity)
 複数の取引主体を結びつけて、単体では得られなかった効果が得られる(業務提携など)
 3. 囲い込み (Lock-in)
 顧客を同業競合他社に流出しづらいようなネットワーク効果Appleが得意とするような
 4. 新奇性 (Novelty)
 イノベーティブなビジネスモデルデザイン。過去に結びついていなかった取引主同士を繋いだり。クラウドファインディングやAirbnbなど

ビジネスの潮流が速い昨今は、イノベーティブでシンプルなビジネスモデルが強いといえよう (6)

  • 経営思想 ~ 両利きの経営ができているか
  • 組織構造
    • アーキテクチュアルな知がもたらされる組織構造となっているか
    • ドミナントデザインに甘んじて、新奇性がもたらされなくなっていないか
  • 情報
    • who knows what の考え
    • 組織におけるドランザクティブ メモリーを高めるチームデザインと情報共通ツールの提案
  • パフォーマンス評価(アウトプット)
    • スキルレベル /知識や技術レベル
    • 経験レベル /判断力、予測力
    • モチベーションレベル /主体性、チームワークや目標へのコミットメント

組織行動の研究では、3つの領域「個人行動」「集団行動」「組織行動」に分別される。

研究では、はじめに組織経営に該当する「組織行動」に焦点をあて、組織のビジョンや構造、文化が企業の業績に対してどのように影響するかについて明らかにする。
次に個の行動や態度に目を向けて、組織の中で働く個人の行動や態度が、どのようにやりがいや生産性に影響するかを示すつもりだ。具体的には、経験学習による認知レベルとモチベーションレベルを測る。ここで示すモチベーションとは、業務に対して主体的かつポジティブな影響力を及ぼせることを意味する。
両者を明らかにしたうえで、ビジョンと目標に沿って両者の組み合わせをおこなっていく予定だ。

今後の課題

以下に関しては言語化できていないため、継続して考えていく必要がある。

  • 研究方法
  • 研究成果
  • 研究項目(案)
    • もう少し焦点を絞って具体化しないといけない
  • 研究室訪問
    • MBA or D-school どちらが自分にマッチするかの見極め

学ぶ理由

私は職場で組織やひとに長く関わり、それらに関心が強いことを自覚している。しかし特定組織の知識経験をもとにした現場運用とマネジメントそして事案対応が主であり、広義の組織経営や組織構造の体系的な理解には至れていない。そのため、経営事業戦略に適した組織構造や体制を提案することができない。加えて組織構造上の不具合を先読みする力が不足しており、事案が発生した際は事象そのものにフォーカスしてしまって高次に本質的な判断や課題解決ができないことをずっと不甲斐なく感じていた。

このような反省から、組織経営に必要な要素について本質的な理解を深めたいという思いが強くなった。事業戦略に見合う組織構造をデザインする力を強化したい。経験から学ぶだけではなく、経営に必要な知識と技術を体系的に学び、現場で通用する実践力をより高い視座で身に付けたい。
MBA あるいは D-schoolでは、経営に必要となる要素と幅広い知識と技術に触れ、自分が所属する組織にフィードバックできることを目指す。具体的には、人的資源管理、財務会計、情報・マーケティング、組織行動を学び、組織と個の両方に実りがある判断と課題解決ができれば幸いである。

経営に関わるあるいは組織に所属する複数の人たちと話を重ねる度に、経営とは組織とは「ひと」だなぁと確信する。
自分が組織づくりの一端を担うことで、ひとが組織の中でよく生きるための助けになれたらと考えている。

参考

片足を既知、もう片足を未知において

4月26日が現職の最終出社日であった。
夕刻に設定したいくつかのMTG以外は、後片付けとご挨拶で1日が過ぎた。
4月以降は週2~3日の出社だったから現職を離れる心の準備はできていた。そのはずなのに、最終日はもう二度と中の人としてここに居ることはないのだなぁと寂寥感が増した。

現職では実に数多くの経験と感情を味わせてもらった。
選考時のことはよく覚えている。当時読んで感銘を受けた「フェルマーの最終定理」の感想を延々とお話した。登場する数学者たちそしてフェルマーの最終定理を解いたアンドリュー =ワイルズ の生き方がどれほど自分の琴線に触れたかを語り、気がつくと選考開始から1時間が過ぎていた。それでもjkondoさんは、それでそれで?と身を乗り出して私の話に耳を傾けてくれたのだった。自分がどういったことをしてきてどんな考えの持ち主で、最後に「新しい価値を生み出す人を応援したいのです」そう伝えた。

入社後は混乱と怒涛の毎日が待っていた。
人事部が立ち上がり、ただしアサインされた自分は未経験で、人事なのに人事職とは何なのかを知らずにいた。これはまずいぞと、人事に関する書籍を購入して自主学習するのだが、書籍に書かれている内容と当時の実務はずいぶんかけ離れていた。今となれば笑い話だ。
技術やインターネットに疎い自分にとって、まわりの社員が何を話しているのかわからないことが頻繁にあった。聞いたことのない単語が飛び交う。指示された内容がまともに理解できない自分が情けなかった。テキストチャットで、意味のわからない言葉を何度も聞き返してはピントのずれた仕事をして失敗し、それでも根気強く自分に関わってくださった同僚には心から感謝しています。

技術が好きで、人びとがよく生きるための新たな価値をつくりだす場にいたいという気持ちが軸にある。
技術が好きだったから、技術者の視点を知りたいと考えて、エンジニアの同僚にRubyを教わり文法を覚えた。やり始めると楽しくて、動くものは作れなくとも開発者の思想や視点をほんの少しずつ理解できるようになったと思う。のちにVimを覚え、この自分がLinuxコマンドをたたけるまでになった。デザイナーさんとは会話を通してサービス開発やデザインの思想哲学について何度もレクチャーを受けた。インターネットビジネスがわからない教えて!と、当時の営業部長に教えを請うた。すべてが体当たりだ。
いつだったかインターネット文化やコンテキストに馴染めない自分が悔しいと吐露したことがある。そういうひとが人事だからよいのだと言ってくれた同僚の言葉は今でも忘れられない。

現場業務は長いこと1人であったが、同僚の協力を得て少しずつチームとして仕事ができるようになった。インターンシップやイベントをきっかけに現職を知り、入社に至った同僚がいま大活躍されている。これ以上の喜びはない。
自分の業務進行は相変わらず不恰好で体当たりで、経営陣を始め同僚には随分と迷惑をおかけしました。ぜんぜんスマートじゃないし回り道ばかり。上司と部下1人ずつだった部が、メンバが増え、チームとなり、今までなんとかやってこられたのは、優秀な同僚とメンバの助けがあったからだ。
これほどやさしくてよいひとが集う組織はそうない。同僚が楽しく元気に働ける組織づくりに関われることが私の喜びだった。
現職のミッションはこうである。

「知る」「つながる」「表現する」で新しい体験を提供し、人の生活を豊かにする

自分は、Webサービスだけじゃなく、はてな社内でリアルな体験を通してこのミッションの恩恵を被った。自分の人生にとって大変有意義で豊かで楽しい時間をたくさん過ごさせていただいた。知るとは、つながるとは、表現するとはいったいどういうことなのか、毎日様々なシーンで考えた。アウトプットを大切にする文化を通して、アウトプットとは社会や他者に対するメッセージなのだと教わった。

少しずつ技術基盤や組織基盤に関心が強くなり、自分が現職で関わることの意味をよく考えるようになった。さらに組織基盤にコミットしたい、知らないといけないことがたくさんある、さらに視座を高めなければならない、という思いが今回の決断のきっかけです。


最終日の夕刻にメッセージボードをいただいた。個別にいただいたメッセージもうれしかった。ありがとうございます。
心のこもったメッセージたちに、今までの記憶がどっと押し寄せて泣いてしまった。
「ともみーの笑顔」や「安心感」というワードがいくつか目についた。そうかみんなに笑顔を向けることができていたのだな〜。現職にポジティブな価値をもたらすことができたのだろうかとずっと不安でいたので tomomii=笑顔と捉えてもらえたことがうれしい。
大変だな孤独だなぁと感じることがあっても、いつも必ず誰かに助けられて毎日楽しく働かせてもらえた。本当に幸せでした。

次の組織でも大きなチャレンジが待っているだろう。はてなの皆さんに恥ずかしくないよう自分の持ち場で笑顔で楽しく働きたい。
片足を既知、もう片足を未知の世界において、両足のバランスをうまく取りながら先に続く長い道を歩いていく。

はてなのファンであることに変わりはありません。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

自分の時間を過ごす

休日のよしなしごとを書く。
朝から澄んだ青空が眩しく昼から気温が上昇した。ぽかぽか陽気に春を感じる。
テレビ台や本棚上に被った埃を拭いて、花屋で見つけたミモザの花を飾り (こんな素敵な花で400円) ベランダに出るとくしゃみが止まらない。やらなくちゃいけないことがあるが、花粉の日は家と図書館で過ごすに限る。
雑誌の一節が目にとまり手元のノートに書き留めた。アインシュタインの「Imagination is more important than knowledge. Knowledge is limited. Imagination encircles the world.」を想起する。

想像する、その行為自体も楽しいけれど、想像するためにまず、知ろうとすることがいい。「想像」と「知識」は表裏一体なのだと思う。
たくさん知り、たくさん想像することで、更に知りたくなる。更に知ると、想像はもっと広がる。それを繰り返すうち、自分とは違う考えも、違う立場にいる人のことも、少し理解できるかもしれない。遠くの声に耳を傾け、遠くの出来事に目を凝らす。


翌日は、昨日と一転して雲の低い雨空となった。春先は花粉に加えて気温のアップダウンが激しく天候の揺れ戻しが何度も訪れる。凪いだ地に着くには、険しい難所を経験する必要があるのだ。まるで人生のようだなぁ、そんなことをぼわぼわと考える。

すごい勢いで流れていくたくさんの情報や人々の思いはどれも強く輝いて見える。のんびりで取捨選択が追いつかず、いちいち感化されては自分を変えたくなったり手当たり次第に新しい本を読む。そんなことを幾度となく繰り返して、ついにはくたくたに疲れ、ふと思うのだ。私の時間は?
もっと余白を、もっとぼやぼやしたり一つの言葉の意味を味わったり一冊の本や身近なひとたちとのお喋りに時間をかけるのが好みじゃなかったか。

自分にとって、植物に水をやるのと好きな言葉を反芻するのは似ている。苔庭にいる何種もの苔たちや熟練のパティシエが作るケーキを眺めていると組織やシステムをイメージする。著者や物語の登場人物や目の前のひとが大切にしている世界の一片を理解できたような気がすると、海の底で宝物を見つけたぞおみたいな気分になる。
「Few are those who see with their own eyes and feel with their own hearts. 自分自身の目で見て、自分自身の心で感じる人は、とても少ない」これもアインシュタインの言葉だ。こんなひとときが好きなのだった。

目先のことを考えて時間を過ごしてきたように思う。間違いをせずまともに(間違えるしちっともまともじゃないが)効率的で合理的でなければいけない。苦手なのに、できないのに、そんなことばかりを意識してきた。だけれども、そういった価値観だけで生きるのはしんどいと思うことが増えた。もっと遠くからの視点を持ちたい。

自分の時間を過ごしているように思えるひとは、いつもずっと遠くの方を見ているせいか穏やかで静かに見える。知らなかったことが知れたり、できなかったことができたり、思いもよらなかった越境ができたり、ひとつの体験や経験から得られる学び気づきや喜びに満ちている。

たまに道に迷いながら自分の地図を作っていく冒険者のように思える。

2019年

あけましておめでとうございます。
今年も穏やかに新年を迎えることができました。

昨年お世話になったみなさま、ありがとうございました。

2018年

振り返りです。2018年 - Words fly away, the written letter remains.
地図なしで迷宮を進むような心持ちで1年を過ごしていたように思います。
自分の知見や考えたことを文章にして、他者に伝えるといった活動は特にできませんでした反省。しかし言葉にする機会には何度か恵まれて、それにより自分の見通しがこれまでより定まったことは複利です。このことは2019年の抱負で少し触れます。

業務繁忙に託けて、優秀な同僚ややさしい人たちに助けてもらいながら、定常運行で日々の仕事と時間を過ごしていきました。しかし周りが優秀でやさしいがために余計に、自分はこのままでいいのか?「一日生きることは、一歩進むことでありたい/湯川秀樹博士」自覚的にそう生きている?が頭をもたげてきました。1年を通してこの思いは定期的に湧いています。

花粉の飛ぶ時期は図書館で過ごし、緑が芽吹くとおいしいお店をめぐり苔を見にお出かけしました。季節とともに暮らせる京都は本当に素敵な場所です。晩秋の澄んだ時期は特にそう感じます。上品な古家具みたいな侘び寂びがあります。

5月末に書いた ある夢が現実化する過程 - Words fly away, the written letter remains. このエントリに対して、いくつかのうれしい反響を個別に寄せていただきました。「長い目で、自分の道を生きよ」事あるごとにわたしを支えてくれている一節です。
この頃に同僚有志が集ってSRE本の輪読会をスタートしました。エンジニアではない自分のレベルに合わせて理解を示してくださる同僚に感謝です。SRE本のファンで、SREのスタンスは真似したいと思っているので、これからも定期的に読むでしょう。年明けから輪読会は再開予定です。

夏は酷暑でしんどかった。仕事はしっかりすること大前提で、暑さのあまり無で毎日を過ごしつつ、自分を取り戻すことを考えていたように思います。
Culture At Netflix | Netflix Jobs を何度も読み、これを自分に落とし込むイメージで、今までの業務経験と考えをまとめた "My Culture" 的なスライドを手元で作ったりしました。
周りがスピード感を増して変化するなか、自分だけ立ち止まっているように感じることが増えました。深い森に迷い込んだ気分でした。
冬。森を歩き続けながら、長い目で物事を見るように気をつけていました。うっかり自分をなくしてしまいがちでした。時に他者と自分の境界が曖昧になり、情報や出来事の波にひどく疲れてしまって、意識的にそういった環境から距離を置くようになりました。自分の感受性やばいとなって、でもどうしたらいいかわからず、ひょいと日帰りで尾道に出かけてたくさんの細道を歩きました。坂と階段と文学の街は、落ち着きと表情がありました。

2018年後半の惑いは自分の人生にとって必要な時間だと思えます。季節の移ろいや酷暑と同じだと思って、多少不安になっても、おいしいものを食べたりごろごろと自分の時間を楽しむことに貪欲でいます。
「一つのステップを挑戦して、考えて、感じて、楽しんでください」そう送ってくれた友人に感謝しています。落ち着いてゆっくりと話ができるひとと会うようにしたい。

2019年

業務ではこれまで手付かずだったことに手を入れてやりきりたい。今までと同様に、以下は私が何をしようとも変わらない自分の軸だと思って過ごします。

自分の感情に耳を傾ける余裕が生まれたり、落ち着いた気持ちを取り戻せたり、本当にしたいことに気づけたり、新しくて豊かな価値を作ったり考えたり楽しむ力が湧いてくる。そういった場や組織づくりをサポートしたい。
http://tomomii.hatenablog.com/entry/2017/01/01/021238

私的なことでは、ある分野の社会人大学院を目指したいと考え始めています。組織とひとと事業の関係や自分の関わりについてお話する機会があり、そのことで自分がそれらへの興味関心が強いことを再認識しました。過去に師が自分に伝えてくれた内容の理解がやっと深まってきたことも大きなきっかけです。入試がありますね、大変だ。
ほとんど趣味の英語学習として howard rheingold's | tools for thought を手元で訳しています。今年中に形にできるといいな。

世の中には「すぐにわかるもの」と「すぐにはわからないもの」2種類があるとされています。すぐにわかるものは、言葉にしやすく通り過ぎてしまう。だけど、すぐにわからないものは(例えば宇宙とかひとのように)何度も考えたり眺めたり行き来したりするうちに、じわじわと解りだして、何かと繋がったり別の価値を生むことがあります。後になって、自分が見ていたものは断片だったことに気づきます。そういったすぐにわかりづらいものに目を凝らし、枠組みや仕組みやお作法を知って考えてみたい。

それから、2019年の展望 - ゆううきブログ で記されている松尾芭蕉の言葉「古人の跡を求めず 古人の求めたるところを求めよ」が琴線に触れ、漫画「バーテンダー」を読んでみました。
私にロールモデルはまだいません。だけど、たくさんの碩学や師が成し遂げている(遂げてきた)ことを理解し、そのためにどんな振る舞いや考え方をしてきたのかについて自分なりに解釈して実行することは、オリジナルでクリエイティブなことだと思えます。行動指針にしたい。

最後に、怪我で手足の自由を失った車椅子の詩画作家 星野富弘さんの言葉が心に触れたので記します。口で筆を咥え、紙の上に美しい花と言葉を生み出されています。花を好む母のコレクション画集から抜粋。

ひとは空に向かって寝る。永遠を見つめよ と言っているのでしょうか
たおれても、その時もしひまだったら、しばらく空をながめ、また起きあがるのさ

わたしの言動に誤りや不愉快や稚拙な点があれば、それは間違いだ違うよ、と忌憚のない指摘をいただきたいです。リアルやインターネットで関わりのある方々はどうかご協力くださいませ。

元気においしいものがたべたい!
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

思考の向き

日常的におこなっている思考や想像(妄想)の種類について書く。
ひとつめ、過去の体験や出来事について、なんで? なんでなんでなんで? を繰り返す類のもの。振り返りはここに含まれる。
次に、自分と離れたものごとについて思考徘徊する。時事ニュースや他者の言動や読み聞きしたことに対して脳内議論をして自分を確認する。他には、自分の現状についてああでもないこうでもないと思考する。ぐるぐる考えたり悩んだりする。
最後に、未来についてのあらぬ妄想。自由である。

せっかくなら、未来や前に向かう思考や想像を増やしたい。思考や想像は、なにかを知ろうとしたりわかることに繋がる。
この文章を書きながら「明日」「楽しそうなこと」2点にフォーカスして試したところ、明日の楽しそうな自分について調べたり知ろうとすることがわかった。

  • 例 : 明日の楽しそうな自分 = 明日おいしいものをたべる自分
    • 明日おいしいものがたべたい > なにがたべたい >どこの > 場所やお店を調べ始める > たべたいものとお店を決めはじめる > 自分が明日になにをたべたいのかわかる > たべる

自分がなりたいこと、ありたい姿、ほしいもの、いきたい場所、会いたいひと、やりたいこと、習得したいわざ等々、未来の自分をたくさん思考想像する。するとたくさんのことが知りたくなる。知った中のいくつかは実現に向けて選択をスタートすることがあるだろう。なんだか思考したり想像すること自体が楽しくなってきませんか。
かつて上司が「イメージしないことは実現しませんよ」と言われた。アインシュタインの言葉を思いだす。

  • Imagination is more important than knowledge. Knowledge is limited. Imagination encircles the world.
  • The more I learn, the more I realize I don’t know. The more I realize I don’t know, the more I want to learn.

思考想像と知識が正の循環を繰り返すうちに、いつしかこれまでの自分が知り得なかった領域の扉を開けているかもしれない。異なる価値観や今まで知らなかったけど好きになりそうなこと、未知の世界を知ったり理解できるようになるかもしれない。
目先のことだけじゃなく、すこし遠くの自分に向けて目を凝らしていこう。インターネットの恩恵に与り情報が簡単に得られ、なんとなく世界が狭く感じたりわかったような気になってしまう。そんな今だからこそ、見えない未来や向こう側の領域について意識的に思考し想像したい。

本を読む会 SRE サイトリライアビリティエンジニアリング #5 ~トイルの撲滅

読み会5章「トイルの撲滅」予習ログです。

#5 トイルの撲滅

Eliminating Toil

  • "If a human operator needs to touch your system during normal operations, you have a bug. The definition of normal changes as your systems grow."

読み解きたいこと

  • トイルとはなにを指すのか
  • Google はどうしてこの内容をあえて章として取り上げるのか
  • トイルとは具体的にどういった作業を指すのか
    • SREに聞いてみたい

読書メモ

5.1 トイルの定義

  • トイル
    • プロダクションサービスを動作させるエンジニアリングに関係する作業
    • 自動化が可能で、戦術的で長期的な価値がなく、作業量がサービス成長に比例
  • オーバーヘッド
    • エンジニアリング以外の作業。プロダクションサービスの稼働に直接関係しない管理上のお仕事
      • e.g. 定例チームMTG, 人事評価作業、目標設定や選考課題考案や事前MTGなど
手作業である
  • e.g. 何らかのタスクを自動化するためのスクリプトを手動で実行するようなこと。確認や実作業にひとの時間を使うようなこと
繰り返される
  • e.g. 3回以上同じ作業を繰り返し繰り返し行うようなこと。もたらされる成果やアウトプットは同じもの
    • 1~2回程度であればトイルと言わない。また新しい気づきや問題解決や解決策に至る作業はトイルと言わない
自動化できる
  • マシンが人と同じように行えるタスク、またそのタスクの必要性をなくすことができる仕組みが作れるようなら、その作業はトイル
    • ひとの判断を要する作業はトイルではない 。ならば選考対応はトイルじゃない。オーバーヘッド
戦術的である
  • 戦略や予測の基づくものではなく、解決にいたるフローの中の作業でもなく、割り込みでスタートして問題発生時の対応作業としておこなわれるもの
    • ゼロにはできないが最小限にはしたい
    • 別のサービスで同じ障害がなんども発生してしまうようなこと?
長期的な価値を持たない
  • タスクを終えた後も、サービスが成長・前進しない
    • 古いコードや設定に踏み込んで整理改善し、サービスにとって恒久的な改善が加えられればトイルではない
サービスの成長に対して O(n) である
  • サービスの成長(トラフィック量、ユーザ数)とともに作業量も増加してしまうようなタスクはトイル
  • 理想的な管理と設計がされたサービスは、そのリソースを追加する作業のみで、他の追加作業なしに1桁程度は成長ができる

5.2 トイルは少ない方がよい理由

この節は Googleの信念を感じる。

  • トイルの作業性質は、SREの戦略・存在意義に反するから
  • SREにとってエンジニアリングとは、サービスをスケールさせる作業であるから

そのためにやっていること

  • SREの目標に、トイルに使う作業は作業時間全体の50%以内に抑えることを掲げる
    • 各SREの作業時間の最低50%は、将来的なトイルの削減またはプロダクト成長に寄与するシステム開発に充てる
    • そういった機能開発は、信頼性、パフォーマンス、利用率の改善目的でおこなうことが普通で、この作業はしばしばトイルを削減してくれる副次効果がある
  • SREの採用時に、いわゆる運用作業チームではないことを明言し約束する
    • そして運用作業チームにならないよう組織チーム全体で取り組んでいく
Googleでのトイルの計算
  • トイルのなかで最も多い作業は割り込み。緊急ではないサービスに関するメッセージやメール、notify
  • その次にオンコール(障害対応)、次にリリースやプッシュ
  • SREのトイルが多すぎる場合
    • 特定のSREのトイルが多すぎる場合は、マネージャがそれぞれに負荷分散できていないことを示す

5.3 エンジニアリングである条件

エンジニアリングとはなにか

  • 人間の判断を必要として新しいものを作ること
  • サービスに恒久的な改善を加え、戦略により導かれるもの
    • クリエイティブでイノベーティブであり、問題や課題を解決するために設計主導のアプローチを取る
  • 汎用的である/横展開が可能である

以下はSREの活動。SREがトイルに割く時間が50%を大きく上回る場合は、何が問題なのかをしっかりと確認しないといけない。

ソフトウェアエンジニアリング
  • SREがコードを書き、新しいツールやフレームワーク、自動化スクリプトを作り出すこと
  • サービスの信頼性やスケーラビリティにダイレクトに働きかけ、サービスに恒久的な改善をもたらすエンジニアリング
システムエンジニアリング
  • プロダクトのシステム設定、設定変更、システムのドキュメンテーションの作成
  • 一度の作業で改善効果が持続できるような作業
    • e.g. モニタリングのセットアップと更新、ロードバランシングの設定、サーバ設定、OSのパラメータチューニング、開発チームへのアーキテクチャ、設計、プロダクト環境に対するコンサルティング
トイル

上述の通り

オーバーヘッド

上述の通り

5.4 トイルは常に悪なのか?

  • 少量であれば悪ではない、中にはトイルを楽しめるSREもいる
    • いち早く達成感をもたらしてくれる類のタスクでもある
  • SREのみならずエンジニアにとってゼロにはできないものであることを認識しておきたい
  • トイルが実業務の半分以上あるいは大量に発生する場合は、問題視したい

トイルが悪になる理由は以下。

キャリアの停滞 (個人)
  • トイルを積み重ねても、サービス・個人どちらの成長にも繋がらない
モラルの低下 (個人)
  • あまりにトイルが多いとSREとして業務をすることが嫌になってしまう ><
    • 切ない
混乱の発生 (SREチーム)
  • SREが発揮する本来の成果/Site Reliabilityやサービスをスケールさせることに時間を割けない。SREの存在意義が自他ともにわからなくなってしまう
    • 切ない
進歩速度の低下 (SREチーム)
  • トイルが多すぎると SREチームの生産性が下がる。火消し作業ばかりに注力し本来のプロダクト機能開発速度の低下=サービス成長の機会損失
    • 切ない
習慣づけ (SREチーム)
  • SREが頑張ってトイルをやっつけすぎるとトイルに対してSREの活躍を期待するように
    • トイル対応はSREの主たるミッションではないのに切ない
摩擦の発生 (SREチーム)
  • トイルが多すぎることによるチーム全体のモラル低下、SRE個々の摩擦
  • 切ない
信義違反 (SREチーム)
  • 大量のトイルは、新規作用されたSRE、あるいは異動者に対する信義に関わる

5.5 まとめ

  • 優れたエンジニアリングで、毎日少しずつトイルを無くしていこうという気概を持とう
  • そのことでサービスをクリーンアップし、SREの労力をスケーラビリティの向上と次世代サービスのアーキテクチャ設計、ツールの構築にシフトしていこう
  • そしてイノベーションを増やし、トイルを減らしたいね

わかったこと

  • SREにとってトイルの存在
  • トイルがもたらす影響
  • トイルを減らすために
    • SREの技術力、DevOpsの対立を生まない体制と仕組みづくり、どれが欠けてもいけない。トイルを削減するという目標を掲げ、削減に必要な材料は同時に進化させるという意思が重要そうだ
      • 自分の職種やチームにもトイルはある。判断を必要としない手作業や繰り返しを「仕方なし」で済ませている。気に留めないといけない

感想

「私たちSREにとってこれはトイルです」と決めて「トイルによりこんな悪影響が及びます」なので「撲滅したい」と発信することで、自分たちのミッションをブラさないとするGoogle SREの信念を感じた。一貫している。
と同時に、"5.4 トイルは本当に悪なのか" の節では SRE の悩みを垣間見せてもらった気がした。

トイルを撲滅するための案として「SREのクリエイティブやイノベーティブマインドを広報し、周辺理解の醸成を進める」を挙げてみたい。SREがパフォーマンスを発揮する対象が浸透すれば、エンジニア全体でトイルを撲滅するあるいは分担できる環境が整いやすくなるかもしれない。
他に、トイルから話が逸れるが、SREのクリエイティブは組織や担当サービスにより異なるイメージがある。一人ひとりのSite Reliability Engineer が、まだ新しい職種であるSREのありようをそれぞれの環境で育てていく、というおもしろさがありそうにも感じた。

SRE本を興味深いな読み返したいなと思える点として、別職種である自分にもあれこれと置き換えて思考できるというのがある。

参加者 : missasanさん, yuukiさん